1.アマモ群落の生産力推定 平成15-16年にかけてのアマモ群落の月別および部位別現存量の変化から、各部位の乾重量と積算した枯死・脱落量を求め、生産力を実測した。年間の純生産量は、9月の現存量68.6gm^<-2>に年間の枯死脱落量を加えた967.5gm^<-2>year^<-1>と見積もることができた。また、生産力の高い3-6月には、一日当たり、3.8-7.7gm^<-2>day^<-1>の高い値を示した。 モンテカルロ法を用いてアマモ群落の生産力をモデル化し推定した。用いたパラメータは、現場の測定データを勘案し、水深1.5m、吸光係数0.3、葉面反射と葉面透過率を0.4、光合成は実測値を用い、LAI(葉面積指数)を0.5-8まで変化させて計算した。その結果、LAI=4のとき6.0gm^<-2>day^<-1>の最大生産力を示した。現場でのLAIの実測地は、3-6月で4-8であり、その間の生産力の実測値は3.8-7.7gm^<-2>day^<-1>と、本研究で開発した数学モデルとほぼ一致した。 2.光合成産物の測定 高速液体クロマトグラフィーを用いて、アマモの光合成産物を測定した。アマモの光合成産物の大部分はスクロースであり、地上部には2-20%、地下部には2-40%と多量に含有されていた。スクロース含有量は明瞭な季節変化を示し、夏季の成熟期に高く、秋季から冬季にかけて低くなった。デンプンはスクロースに比べ少なく、地上部には0.5-4%、地下部では2-10%であった。しかし、種子のみはデンプン含有量が高く、40-50%の高い値を示した。デンプン含有量は、葉部では明瞭な季節変化を示さないものの、地下部では枯死・脱落期の夏に多く、それ以外の季節では低いままであった。 3.種子の発芽条件とデンプン量の定量 室内実験において、水温、塩分濃度をさまざまに変化させて発芽実験を行い、最適発芽条件を決定すると共に、発芽に伴うデンプン量の変化を測定した。発芽の最適水温は15℃で、20℃以上では発芽しなかった。発芽後約30日の、第3葉が展開するとデンプンが消失することから、第3葉の展開後は自律的に生長することができる。
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