研究課題/領域番号 |
16380132
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中井 敏博 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (60164117)
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研究分担者 |
植松 一眞 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (00116542)
冲中 泰 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 助教授 (80363034)
森 広一郎 (独)水産総合研究センター, 上浦栽培漁業センター, 技術開発官
菅谷 琢磨 (独)水産総合研究センター, 上浦栽培漁業センター, 技術開発官
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キーワード | ベータノダウイルス / ウイルス性神経壊死症 / Viral Nervous Necrosis(VNN) / 海産魚のウイルス病 / RT-PCR / Nested PCR / ウイルスの生態 / 魚病 |
研究概要 |
1.不顕性感染魚からのウイルス検出のために、RT-PCRおよびNested PCR用のDegenerateプライマーを設計した。外見上病的徴候が認められない野生魚30種295尾の脳を材料として、ベータノダウイルス(NNV)の検出を行った結果、RT-PC、Nested PCRともに新プライマーでの検出率が従来プライマーのそれを遙かに上回った。また、この新規プライマーは、NNVの4遺伝子型の中で特にRGNNVの選択的増幅に優れていた。 2.瀬戸内海(愛媛県海域)で発生した野生キジハタ異常遊泳魚からNNVがE-11細胞で分離され、その外被タンパク質遺伝子RNA2の塩基配列は養殖魚由来のRGNNVと99%以上の相同性が認められた。 3.香川県屋島湾、長崎県玉之浦湾(五島)、大分県上浦湾、および鹿児島県加計呂麻島において採取した野生魚(病的徴候無し)を材料として、上記新プライマーを用いたPCRによるNNVの検出を試みた。屋島湾、玉之浦湾、上浦湾、および加計呂麻島におけるRT-PCR(Nested PCR)によるNNVの検出率はそれぞれ、0%(80%)、26%(93%)、0%(94%)、10%(47%)となり、これらの外見上健康な野生魚が高率にNNVを保有していることが明らかとなった。これらの野生魚由来NNVのRNA2の塩基配列は既報のRGNNVのそれと98%以上一致した。 4.上記野生魚から分離されたNNVについて、マハタに対する病原性を注射法(10^6TCID50/fish)により調べた結果、いずれのウイルス株でもマハタの死亡率は60%以上であった。 5.以上の結果から、海産魚の増養殖が行われている海域に生息する野生魚は、従来の病魚由来のRGNNVに極めて類似し、かつ病原性を有するNNVを高率に保有していることが明らかとなった。
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