研究課題/領域番号 |
16380135
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
水産学一般
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中尾 実樹 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (50212080)
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研究分担者 |
杣本 智軌 九州大学, 大学院・農学研究院, 助手 (40403993)
加藤 陽子 九州大学, 農学部, 技術専門職員 (10380560)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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キーワード | 補体 / 魚類 / 遺伝子 / 多重化 / アイソタイプ / 免疫 / 生体防御 |
研究概要 |
本研究は、これまでに同定されているコイ補体成分C3、C4、C5、B因子、C1r/s、I因子のアイソタイプ間の機能分化を、遺伝子およびタンパク質レベルで解析し、補体遺伝子多重化の生物学的な意義を解明することを目的とした。まず、各アイソタイプmRNAの組織分布を解析したところ、C4、C5、B因子、I因子でアイソタイプ間に発現部位の違いが認められた。さらに、C5、B因子については発現部位の違いだけでなく、細菌感染時の応答性もアイソタイプ間で異なっていた。特にB因子アイソタイプ(A1およびA3)については発現の部位と応答性に著しい違いが認められたので、このメカニズムを解明するために、コイゲノムDNAライブラリーをλFIXベクターを用いて構築し、両B因子アイソタイプの遺伝子をクローニング後、それらの上流領域(転写調節領域)の塩基配列を比較した。その結果、A1アイソタイプ遺伝子の上流領域には、A1の肝膵臓での構成的な発現を説明し得る転写調節エレメント(C/EBPαやHNF-1)が同定された。タンパク質レベルにおいては、B因子のA3アイソタイプがC3-Sアイソタイプとのみ、D因子非依存性のC3転換酵素形成能を示した。これは、A3アイソタイプが魚類に特有の補体活性化機構を付与していることを示唆する。補体レクチン経路構成成分については、糖鎖結合特異性が異なる2種類のマンノース結合レクチンアイソタイプ(MBL,GalBL)がコイ血清中に存在し、両アイソタイプ共にセリンプロテアーゼMASP2と会合して補体活性化能を有することが判明した。以上の結果から、魚類で高度に多重化した補体成分アイソタイプは、自然免疫による異物の認識と排除能力を増強していることが強く示唆された。
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