研究概要 |
18年度は以下の成果を得た。 (1)マサバの排卵された卵は排卵後過熟を起こすため,人工授精を行う場合,排卵後直ちに媒精しないと受精率が急激に低下する。したがって,ホルモン投与に当たり,排卵までの時間を明らかにしておく必要がある。卵黄形成を終了したマサバにHCGあるいはGnRHaを投与し,卵成熟と排卵のタイムコースを明らかにするとともに,投与時刻の検討も併せて行った。その結果、水温19-20℃でHCGを投与した場合,14:00および02:00のいずれの投与時刻でも投与後約33時間を中心に排卵が起こった。一方,GnRHaを投与した場合,いずれの時刻でも投与後約36時間を中心に排卵が起こった。このように,マサバでは投与時刻に関係なく,卵成熟と排卵はホルモンの種類ごとに一定のタイムコースで進行することが明らかとなった。 (2)マサバ脳下垂体におけるGtH産生細胞の免疫組織化学的同定を行うとともに,飼育下におけるマサバの生殖周期に伴うそれら産生細胞の活性変化を解析した。その結果、主葉主部を中心に2種のGtH細胞が確認され,雌雄ともに,FSH量は産卵期間をピークとする増加傾向を示し,産卵後減少した。一方,LHの発現量は,特に雌において,産卵後を除いた生殖周期を通して一定した高い値を示した。このように,マサバの2種のGtHはサケ科魚とは異なった発現プロファイルを示すことが明らかとなった。 (3)GnRHaの投与によりマサバの連続産卵を誘導し、産卵期間、産卵時刻、産卵量、受精率等の変化を調べ、マサバの産卵生態の詳細な動態を明らかにした。
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