研究課題
基盤研究(B)
魚類の摂餌行動は、餌の存在に気づき,探索、口腔内への取り込み、摂取に終わる。我々は味覚入力を介するこの摂餌行動解発の神経機構に関して、ゴンズイとヒメジを中心に形態・生理・行動学的解析を永年取り組み、今回は次の新たな知見を得た。1)餌のついばみ行動に関して蝶番関節を持ち、下顎骨のみを動かすことで口の開閉を行う。この関節では上顎骨と下顎骨の接触面が円柱面の一部を形成し、下顎骨が一方向にのみ動く。2)閉口に関わる筋肉として3種の下顎内転筋、開口に関わる筋肉として舌骨伸出筋、鰓蓋挙筋、口蓋弓挙筋などを同定した。3)3種の下顎内転筋と舌骨伸出筋は三叉運動ニューロンに、上記の他の筋肉は顔面運動ニューロンに主に支配される。三叉と顔面運動核は、それぞれ2つの亜核に分かれる。これらの個々の亜核葉末端で支配する筋肉が異なる傾向にあり、2つの運動核に体部位局在構築が存在することが分かった。4)三叉運動核は、顔面葉全体、顔面葉下部の綱様体、第三次味覚中枢の存在する下葉、及び三叉神経の感覚ニューロンからの入力を受ける。顔面葉の三叉運動核への出力ニューロンは小葉の下部に存在する大型のもので、その樹上突起野は各小葉全体に及ぶものと推察される。5)顔面運動核は、顔面葉尾方、顔面葉中間核、第三次味覚中枢の存在する下葉からの入力を受ける。6)三叉運動核は両側の顔面運動核と反対側の三叉運動核の3つの運動核と介在ニューロンを通して線維連絡をもつ。これは、顎骨運動や鰓蓋運動の連動と左右の協調の系として働いていると思われる。7)嗅覚除去したゴンズイも、夜間に与えたオキアミに対して一連の摂餌行動を遂行できることを示し、味覚を介する摂餌行動の神経機構を行動学的に確かめた。また、成魚のゴンズイは夜行性の行動様式を示し、内因性の概日リズムの存在を明らかにした。8)オジサンでの三叉、顔面、舌咽神経の中枢への投射を明らかした。また、触鬚小葉から顔面運動核への反射経路を明らかに、味覚情報が関与する触鬚の運動の神経機構を示した。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (10件)
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