研究課題/領域番号 |
16380146
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
大江 靖雄 千葉大学, 園芸学部, 教授 (60302535)
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研究分担者 |
栗原 伸一 千葉大学, 園芸学部, 助教授 (80292671)
霜浦 森平 千葉大学, 園芸学部, 助手 (40372354)
宮崎 猛 京都府立大学, 農学部, 教授 (50115945)
廣政 幸生 明治大学, 農学部, 教授 (00173295)
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キーワード | 都市農村交流 / 農業の教育機能 / 農業の多面的機能 / 正の外部効果 / 農業経営の多角化 / 農村ツーリズム |
研究概要 |
本年度は、農業の教育機能の具体的取組みについて明らかにするため、農業経営サイドの観点から、教育機能に関して取り組みの進んでいる地域交流牧場会員を対象として、多面的機能と経営活動との結合性のあり方について焦点をあてて、概念的な考察とともに、実証的な解析を行った。地域交流牧場は、概して規模の大きい酪農家であるため、データの有する規模の上方バイアスや分析可能なデータの制約が大きい点に留意する必要があるが、本稿で得られた分析結果を総括すると、以下のとおりである。 1)教育機能は、人的資源に直接効果が及ぶ点や、基礎的な教育として陳腐化がみられない点で特徴を有している。また、技術的結合性に加えて、制度的な結合性を有していると考えられる。このことは、技術的結合性のみならず、制度的結合性の重要性を認識することが必要であることを示している。 2)地域交流牧場の経営活動は、全体として交流型の多角化が進んでおり、交流指向が一般の酪農家にくらべて強いといえる。このうち、提供する体験サービスは、作業体験ほど生産との技術的結合性が強く、分離提供が可能ではない。この点は特に家族経営ほど強い。 3)体験サービスの料金水準は、教育ファームで高く、有料化される傾向にあるが、生産物として提供されるのではなく、原価程度の回収のみを行う部分的で不完全な内部化がなされている程度である。 4)以上の考察を踏まえた多角化と体験サービス提供との結合性に関するモデル計測結果から、生産規模との技術的な結合性はみられなかった。しかし、生産活動の多角化と体験サービス提供との結合性については、U字型の形状を示していることが実証的に明らかにされた。このことから、範囲の経済に起因する技術的結合性が可変的であることがいえる。 5)酪農教育ファームの認証を得ている経営ほど、体験サービスの提供が積極的であることが統計的にも裏づけられ、体験サービス提供の制度化により、教育機能の高まることが明らかとなった。
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