研究課題
基盤研究(B)
平成16年度には、ECD付きガスクロマトグラフ装置の導入が遅れたので、水田土壌から発生するもう一つの重要な温室効果ガスであるメタンに着目し、制御されたイネのない環境下で、異なる間断日数で間断灌概を行った場合の水田土壌からのメタン放出の特性を把握するために室内実験を行った。不撹乱土壌試料に約1ヵ月間連続湛水し、その後4日湛水4日落水、2日湛水2日落水の間断灌概を行った。メタン放出は湛水時に減少、落水時に増加し、落水時に土壌間隙が大気と連結されるため湛水時に蓄積されたメタンが放出されると考えられた。4湛4落では嫌気的状態がより長く維持され、2湛2落よりも総メタン放出量が高かった。平成17年度には、実際の現場水田2地点で、メタンと一酸化二窒素放出の測定を、田植え後から積雪まで約6ヶ月間、週1〜2回の頻度で行なった。間断灌概時には、酸化状態でメタンが、還元状態で一酸化二窒素が放出されたが、ガス放出のピークは急速な灌水、落水から時間遅れする状況が把握された。また、稲刈り後の水田土壌からの一酸化二窒素の放出は低いが、メタンは突発的に放出された。平成18年度には、降雨の影響を避けてハウス内でイネをポット栽培し、最高分けつの1週間以上前に中干しを開始する早期中干し区と、移植直後から間断灌概を行う早期間断灌漉区を設け、一酸化二窒素およびメタン放出量を慣行区と比較した。早期間断灌概区では土壌の酸化還元の繰り返しにより、早期中干し区では還元化の進行の早期緩和により、メタン総放出量は慣行区のそれの約半分であった。早期間断灌満区では一酸化二窒素放出の変動が大きく、早期中干し区では中干し後に一酸化二窒素放出が上昇した。また、イネのない環境下で、異なる間断日数で間断灌満を行った室内実験の結果、一酸化二窒素およびメタン放出はいずれも湛水時に減少し、落水時に増加する傾向が見られた。
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Paddy and Water Environment (in press)
農業土木学会論文集 No. 247
ページ: 45-52
Transactions of the Japanese Society of Irrigation, Drainage and Reclamation Engineering 247
PAWEES 2006 5th International Conference on Management of Paddy and Water Environment for Sustainable Rice Production (II)
平成17年度農業土木学会大会講演会講演要旨集
ページ: 4-4
平成16年度農業土木学会大会講演会講演要旨集
ページ: 642-643