研究概要 |
本研究はトキ野生復帰を前にして、かつてのようにトキが水田で餌を採ることができることを目指すもので、近年生物にやさしい農法として知られるようになった深水栽培の地帯力や水質の問題と佐渡の河川におけるドジョウの生息状況調査ならびに水田用魚道の試作について取り組んだ。 水田の環境改善的な管理手法として近年関心が集まっている深水管理の特性について生産技術の側面から検討した。深水管理は冷害回避技術として開発・評価されているが、常時湛水型と中干し型に区分され、今日では中干し型が一般的である。本研究においては水稲生育の環境緩和機能や生物の生存環境としての安定性の観点から常時湛水型に注目し、これが中干し型に比べて、収量、分蘖抑制の面で劣ることはなく、用水量、地耐力確保の側面から見ても遜色の無いことを確認した。 トキ野生化が予定されている近くの水田圃場となっている佐渡市新穂町田野沢地区の無農薬有機栽培圃場において、水田の水質浄化機能、水文環境、水管理特性など、エサ資源供給場となる水田圃場の営農と水環境について定量的評価を試み、作付け期間の現地実証試験を行った。小規模の傾斜地水田の水利特性は、少量の用水連続取水と上流水田からの水田排水の反復利用による、節水・湛水型管理と特徴付けられた。 佐渡天王川流城において,ドジョウの保全に向けて検討するために,魚類(ドジョウ)の生息調査,環境調査および資料調査を6月,8月および12月の3回にわたって実施した.その結果,天王川の水利施設系の特性と生息環境との関係が明らかになった.平野部における保全と異なる方法が中山間地には必要であることが示唆された. 水田用魚道としてコルゲートパイプを用いた実験を行い、勾配10°以下ならドジョウは遡上することを確認し、天王川上流などの水田3箇所で試験設置した結果。2箇所で遡上を確認し、有効な魚道になりうることを確認した。
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