研究概要 |
1.畑作圃場でのカバークロップ利用と土壌生物性 (1)カバークロップの利用(ライムギ,ヘアリーベッチ,裸地)と耕うん方法(不耕起,プラウ耕,ロータリ耕)が後作のオカボ栽培における耕地内の窒素循環について検討した。ヘアリーベッチは最も多くの窒素を吸収し,オカボ栽培期間中にオカボへ移譲した。 (2)土壌生物相:カバークロップ利用で微生物数は増加し,不耕起栽培では土壌表層で増加した。大型土壌動物は不耕起栽培で増加した。土壌動物はカバークロップ窒素の利用を促進し、不耕起とカバークロップの組合わせ利用で耕地内の窒素循環促す土壌生態系を構築する可能性が示唆された。 2.水田でのカバークロップ利用 15Nでラベルしたカバークロップを水田に表面マルチと鋤込みの2方法で施用したところ,水稲生育およびカバークロップ由来窒素の利用率は,鋤込み施用で高くなった。マメ科緑肥は易分解性のため,早期に窒素を放出してしまうが,イネ科緑肥は,栽培後期まで肥効が持続する傾向が見られた。西南地域水田ではシロクローバー,エンバク,キカラシが有望で、灌水時期の遅延により,収量及び作物乾物重の増加と倒伏率の低下を認めた 3.施設園芸でのカバークロップ利用 ヘアリーベッチマルチ畝にトマトを慣行の半量の窒素で栽培すると、慣行窒素量を施用した無マルチ(耕起)圃場と同等の収量が得られた。HV畝の表層で硝酸態窒素が高濃度に維持された。HVの約17%がトマトに吸収されたが、低窒素条件下でのHV利用が有効と考えられた。 4.カバークロップのイネ科・マメ科比の推定 群落反射光のハイパースペクトルデータによるイネ科・マメ科緑肥作物の局所的な構成比率を算定すると誤識別が約1%以下となる判別関数式が得られ、ハイパースペクトルデータの有効性が示された。
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