研究概要 |
本研究は,作業の効率性,システムの柔軟性,農地環境の負荷低減を念頭におき,複数の小型ロボットに協調して作業を行わせるマルチエージェント型のロボットシステムを提案する。圃場1区画を3台のロボットが相互に通信しながら,農薬散布,生育情報収集など,食料生産プロセスにおける重要なタスクを自律分散的な協調パターンで実行できる方法論を考案する。今年度は特にシステムの要素技術開発に重点をおいて実施し,以下の研究を行った。 通信モジュール開発 通信系は内部のモジュール間通信を効率的に行うためにCAN(Controller Area Network)を採用した。CANを使用することで,ロボットに新たなセンサ,アクチュエータを装備する場合に,高い拡張性が確保できる。また,作業に使用するロボット(エージェント)の数に制限を与えないシステム仕様とするため,エージェント間の通信には無線LANを採用し,システム構成に高い柔軟性を保証するよう配慮した。 オペレーションモジュールのためのビジョンセンサ開発 オペレーションモジュールは実際の作業を司るものである。本研究では,精密作業の効果が最も発揮できるピンポイントに農薬散布を行うエンドエフェクタを試作する予定であり,ビジョンセンサにより作物個体を認識して,作物葉部にだけ正確に農薬を散布する技術を開発する。今年度はビジョンセンサが広範囲に情報収集できるように,全方位カメラを使用したロボット用ビジョンセンサを開発した。
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