研究概要 |
本研究は,作業の効率性,システムの柔軟性,農地環境の負荷低減を念頭におき,複数の小型ロボットに協調して作業を行わせるマルチエージェント型のロボットシステムを提案する。圃場1区画をロボットが相互に通信しながら,農薬散布,生育情報収集など,食料生産プロセスにおける重要なタスクを自律分散的な協調パターンで実行できる方法論を考案する。今年度は特に作業機との通信システムと障害物認識・回避システムの開発に重点をおいて実施した。 1.ロボット・作業機間の通信システム ISOBUS上で作業マップ管理,可変施肥機の施用量決定などを管理するタスクコントローラのPCエミュレータを試作した。作業データ形式としてはISOで採用されたAMEDに準拠させた。既存の作業機に装着することで,低コストで安価にISOBUSに対応させ,かつ可変施用技術にも応用可能なMPを開発した。また,マップ管理のための位置情報取得,および速度変動に対する自動制御を行うための速度情報取得にはGPSを用い,RS232C出力のGPSをSAEJ1939フォーマットに対応させるためにシリアル-CAN変換器を介してISOBUSに接続した。 2.障害物認識・回避システム ロボットの安全機能を障害物の認識,危険度の数値化,危険度に基づく回避動作の3つに分けて開発した。障害物の認識にはレーザースキャナを採用し,半径80m内の周囲180°に存在する物体を認識させた。危険度は障害物までの距離と速度ベクトルから分布関数を介して算出される。実際の走行試験によって,開発したシステムによって,他ロボットや障害物との衝突を回避させ得ることを確認した。
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