研究課題/領域番号 |
16380177
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研究機関 | 独立行政法人農業技術研究機構 |
研究代表者 |
杉山 純一 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所・食品工学研究領域, ユニット長 (20353972)
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研究分担者 |
等々力 節子 食品総合研究所, 安全研究領域, 上席研究員 (30353973)
小川 幸春 千葉大学, 園芸学部, 准教授 (00373126)
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キーワード | ハイパースペクトル / イメージング / 励起・蛍光マトリックス / 小麦 / 内部構造 / 可視化 |
研究概要 |
試料を連続的に切削し、様々な深さにおける断面を露出させるマイクロスライサ部、照明波長可変の分光照明部、及び任意の波長で試料の露出断面を観察可能な分光イメージング部よりなる「3次元スぺクトルイメージングシステム」を用い、米国産春小麦のEEMを計測した。具体的には、小麦種子をマイクロスライサにより切削して中央部断面を露出させ、その蛍光画像を、励起波長350〜670nm、蛍光波長400〜720nm、波長間隔10nmにて、計561枚撮影した。次に、蛍光画像の各画素における励起・蛍光マトリックス(Excitation-Emission Matrix:EEM)を算出し、それらに主成分分析を適用して、各画素のEEMパターンの違いを3次元の主成分プロットに投影すると同時に、可視化に最適な波長条件を明らかにした。最後に、光画像の各画素を、主成分プロット上の位置に応じて彩色することにより、切断面における構造を可視化した。その結果、切断面の可視化画像において、外皮、胚乳外層、胚乳内層、胚芽等の各部位は異なる色で彩色され、それぞれを明確に識別可能であった。これは、タンパク質が豊富(胚乳外層)、デンプンが豊富(胚乳内層)等、各部位の構成成分が異なっており、それぞれが特有のEEMパターンを持っていることを反映しているためと考えられる。さらに、本手法を軟質小麦及び硬質小麦に適用し、両者の切断面における可視化画像を比較したところ、軟質小麦において成分分布がより不均一であることが示唆された。また、軟質小麦種子の切削と、内部構造可視化に最適な波長条件における断面撮影を繰り返し行い、画像処理とボリュームレンダリング法を適用して、その内部構造の立体可視化に成功した。
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