研究課題/領域番号 |
16380179
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
齋藤 忠夫 東北大学, 大学院農学研究科, 教授 (00118358)
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研究分担者 |
北澤 春樹 東北大学, 大学院農学研究科, 助教授 (10204885)
川井 泰 東北大学, 大学院農学研究科, 助手 (00261496)
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キーワード | 乳糖分解酵素 / ラクターゼ / β-ガラクトシダーゼ / フォスフォ-β-ガラクトシダーゼ / フォスフォ-β-グルコシダーゼ / 腸管系乳酸菌 / プロバイオティクス / 乳糖不耐症 |
研究概要 |
当研究室でこれまでに、ヒト腸管組織または糞便より単離した、Lactobacillusなどの乳酸桿菌を中心とした乳酸菌ライブラリー約300株より、3種類の「乳糖(ラクトース)分解酵素」(ラクターゼ)に着目してその活性測定を初めて行った。分析に先立ち、市販ONP-GalおよびONP-GlcのC6位水酸基に化学的にリン酸基を導入し、それぞれONP-Gal-6PおよびONP-Glc-6Pを合成した。これらの合成糖基質を用いて、ライブラリー乳酸菌の酵素活性を比色法で測定した結果、ヒト腸管からのプロバイオティクスの中にも、β-ガラクトシダーゼ活性ではLb. delvrueckii subsp. bulgaricus NIAIB-6株に匹敵する高活性菌が3株選抜出来た。また、同様に他の2種の酵素でも対照として用いたLc. lactis sussp.lactis NIAI 527株よりも高いフォスフォ-β-ガラクトシダーゼ活性菌が3株および高いフォスフォ-β-グルコシダーゼ活性を示すLb. gasseriと考えられる菌株が3株選抜する事に成功した(研究実績)。 また、プロバイオティクスの要件であるヒト腸管付着性の能力検定も行い、ラクターゼ活性に加えて腸管の血液型抗原への特異的結合性も明らかにした(研究業績)。さらに、これらの菌株の16S rDNA解析により同定を試み、とくに製品化を考えた場合のガス産生能を検討し、産生菌を排除した。また、腸管付着性にっいて当研究室で開発したバイオセンサーBIACORE1000を用いたアッセイ系により、さらにヒト腸管付着性菌を選抜した。以上の3年間に渡る継続研究により、ガス産生が無く、胃酸耐性、胆汁酸耐性があり、高いヒト腸管付着性が期待され、さらに乳糖分解性が特に高い菌株を選抜することに成功した(研究実績:特許)。 本年度の研究では、とくにLactobacillus gasseri ATCC33323^T株から特徴的な乳糖分解酵素を単離し、それらの生化学的特性解析を行い、2つの酵素についてクローニングを完了した。また、一つの酵素は、大腸菌による大量発現も実施し、合わせてKm値およびVmaxなどのカイネティクス解析も終了した。これにより、ヒト腸管内で優勢であるガセリ菌における乳糖分解機構に何故2種の取り込み機構(パーミアーゼ系、PET-PTS系)および3種の酵素系(β-ガラクトシダーゼ、フォスフォ-β-ガラクトシダーゼ、フォスフォーβ-グルコシダーゼ)の存在が認められ、菌株はどのようにこれらの酵素系を制御して発現しているのかの解明に大きく前進することが出来た。また、最終的に本研究の最終目標である、3種類の選抜菌を用いた乳糖不耐症用の生菌剤や整腸剤および機能性発酵乳(ヨーグルト)の試作を実施した。
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