研究概要 |
次の4点から検討を行い,成果を学術論文として公表するとともに,単行本としても公表した。 (1)カゼインホスホペプチド(CPP)による腸管IgAの増強が病気の予防に効果的であることの確認 アレルギー自然発症マウスをCPP添加飼料で飼育するとアレルギーの発症が遅延されることから,IgAには病気の予防効果があることが確認され,Anim.Sci.J.誌に公表した。 (2)CPPPのサイトカン生産調節機能の確認 細胞培養系により,CPPはIgA産生に重要なサイトカインであるIL-5やIL-6などのサイトカインmRNAの発現や分泌を促進することを明らかにし,Biosci.Biotechnol.Biochem.誌とMilchwissenshaft誌に公表済みまたは印刷中である。 (3)局所および全身免疫系促進飼料素材としてのCPPの調製 従来市販されているCPPは全身免疫系の促進は行わないが,麹菌のアルカリ性プロテアーゼをカゼインに作用させることにより得られるCPPは腸管のIgAとともに血液IgGの生産も促進することを細胞培養系と経口投与試験で明らかにし,、一部はMilchwissenschaft誌に論文として印刷中であり,一部は2005年度3月開催の日本畜産学会大会で報告予定である。 (4)リン含量の異なるリン酸化デキストリンの調製と機能性飼料素材としての評価 リン含量の異なるリン酸化デキストリンを調製し,細胞培養系でリンパ球に対してマイトージェン活性やIgA産生促進活性があることを確認した。また,そのうちの1つを仔豚の飼料に加えることにより,リン酸化デキストリンはIgA産生増強飼料素材となりうることを示唆した。本結果は,2005年度夏に北大で開催される日本畜産学会第105大会で発表予定である。
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