研究課題/領域番号 |
16380185
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
杉田 昭栄 宇都宮大学, 農学部, 教授 (50154472)
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研究分担者 |
田中 秀幸 宇都宮大学, 農学部, 教授 (70091949)
福井 えみこ 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (20208341)
青山 真人 宇都宮大学, 農学部, 助手 (90282384)
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キーワード | ハシブトガラス / ハシボソガラス / 羽の超微細構造 / メラニン顆粒 / 個体相互認識 / ミトコンドリアDNA |
研究概要 |
本年度の実施計画は、1)カラスの羽の電子顕微鏡およびオス・メスのメラニン顆粒および含有量の解析、2)尾腺の雌雄の差異の解析、3)ハシブトガラスハシボソガラスのミトコンドリアDNAの解析、4)カラスの鳴き声および他のカラスに面した個体の反応について実施した。 カラスの羽の微細構造にといては、小羽枝鉤部の長さは雄より雌のほうが有意に長いこと(P<0.01)、小羽枝の間隔は雄より雌のほうが有意に広いこと(P<0.01)が明らかとなった。透過型電子顕微鏡において、メラニン顆粒は、雄の方が雌のそれより有意に高いこと(P<0.01)が明らかになった。さらに、雌雄ともにメラニン色素顆粒は不規則に分布していたが雄では小羽枝断面の外側にメラニン色素顆粒の1層構造が多く存在することを確認し、この1層構造がハシブトガラスの羽の構造色を生み出す重要な役割を果たすことが示唆された。 尾腺においては、外観においてオスの方がメスより大きく突出している点を確認できたが、組織学的解析については雌雄の相異の有無を確定できなかった。しかし、結論を出すにはさらなる検討が必要であると考えられた。 ハシボソガラス10羽におけるコントロール領域の全塩基配列数は1355〜1359bpであり、4つのハプロタイプが観察された。各ハプロタイプ間での相同性は98〜99%であり、塩基置換数は2〜12塩基であった。ハシブトガラス7羽における全塩基配列数は1355〜1357bpであり、2つのハプロタイプが観察された。ハプロタイプ間での相同性は97%であり、塩基置換数は5塩基であった。最も出現頻度の高かったタイプにおいて、ハシボソガラスとハシブトガラスの相同性は97%であり、この結果両者は近縁種であることが裏付けられた。 個体間相互認識では、体重の少ない個体は重い個体に対し、反応が敏感であり許容が狭い傾向にあった。また、同じ空間に長時間住んでいるほうが、侵入者に対し優位な立場になる傾向がみられた。
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