研究課題/領域番号 |
16380188
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用動物科学
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
国枝 哲夫 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (80178011)
|
研究分担者 |
辻 岳人 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (90314682)
小川 博之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30012016)
|
研究期間 (年度) |
2004 – 2005
|
キーワード | 和牛 / 遺伝性疾患 / 眼球形成異常 / 血液凝固 / 第VIII因子 / 連鎖解析 / マッピング / 育種 |
研究概要 |
本研究は和牛に発生する遺伝性眼球形成異常症および血液凝固異常の原因となる遺伝子を分子遺伝学的手法により同定し、本疾患の発生の予防と原因遺伝子の集団中よりの除去のための遺伝子診断法を確立することで、和牛の生産性に関する形質の育種・改良を目指すものである。昨年度の研究では発症個体を含む家系のサンプルを用いた連鎖解析により疾患原因遺伝子の染色体上の位置を特定するとともに、当該疾患の病態を詳細に解析することで機能的に関連が推測される遺伝子を特定した。そこで本年度の研究では、遺伝性眼球形成異常症においては当該染色体上の領域に存在する遺伝子の中から機能的に本疾患と関連する可能性あるいくつかの遺伝子をクローニングし、その塩基配列を解析した。具体的には、ヒトやマウスにおいて眼球の形成異常と関連している遺伝子であるMAF, FOXC2およびFOXF1の3遺伝子について着目し、これらの遺伝子の解析を行った。これらの遺伝子の塩基配列を決定し、正常個体と発症個体の間で比較したところ、両者の間に疾患の原因となるような塩基配列上の違いは認められず、これらの遺伝子は本疾患の原因遺伝子ではないことが結論づけられた。血液凝固不全症については、発症個体より得られた血液を用いて各血液凝固因子の活性を測定したところ、血液凝固第VIII因子の活性が発症個体において著しく低下していることから、本疾患は血液凝固第VIII因子遺伝子の突然変異に起因していることが推測されたため、本遺伝子をクローニングしその塩基配列を発症個体と正常個体の間で比較したところ、発症個体に特異的なロイシンからヒスチジンへのアミノ酸置換が2134番目のコドンに見いだされ、このアミノ酸置換が本疾患の原因であると結論づけられた。さらに、この変異を検出するための遺伝子診断法を確立し、この方法を用いることで本疾患のキャリア個体を容易に判別することが可能となった。
|