研究課題/領域番号 |
16380190
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
葛西 孫三郎 高知大学, 農学部, 教授 (60152617)
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研究分担者 |
枝重 圭祐 高知大学, 農学部, 助教授 (30175228)
越本 知大 宮崎大学, フロンティア科学実験センター, 助教授 (70295210)
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キーワード | アクアポリン / 水透過性 / 耐凍剤透過性 / 卵子の凍結保存 / マウス / アフリカツメガエル / メダカ / キョウソヤドリコバチ |
研究概要 |
本年度は、以下のような研究結果が得られた。(1)水・耐凍剤チャンネルを人為的に発現させたマウス卵子の凍結保存後の発生能を調べるために、卵丘細胞層を残した卵核胞期卵子にアクアポリン(以下AQP)3のcRNAを注入して発現させ、成熟後にグリセロールベースの耐凍剤液で凍結した後に、透明帯を除去して体外受精したところ、拡大胚盤胞にまで発生した。さらにレシピエントの子宮に移植したところ、産子が得られた。産子を性成熟に達するまで飼育し、交配したところ、産子が得られた。マウスでは、卵子に水・耐凍剤チャンネルを人為的に発現させて耐凍性を向上させた卵子は、完全な発生能を有していることがわかった。他の脊椎動物種での応用が期待される。(2)アフリカツメガエル卵子の凍結保存を試みるために、アフリカツメガエルの卵核胞期卵子にAQP1,AQP3およびAQP7のcRNAを注入して発現させ、水あるいは耐凍剤の透過性を向上させたが、高浸透圧に極端に弱いという卵子の特性に変化が無いため、8-10%の耐凍剤液に25℃で5-10分浸漬しただけで死滅し、凍結保存は困難と考えられた。(3)メダカ卵子での水・耐凍剤チャンネル発現の有無を調べるために、メダカ卵子の膜透過性を調べた。メダカ卵子の水や耐凍剤の透過性はかなり低く、水・耐凍剤チャンネルはほとんど発現していないと考えられた.卵核胞期卵子にAQP3 cRNAを注入して発現させたところ、水および耐凍剤の透過性が向上したことから、水・耐凍剤チャンネルの発現により膜透過性を向上させることが可能であることがわかった。(4)キョウソヤドリコバチの胚での水・耐凍剤チャンネル発現の有無を調べるために、ワックス層を除去したキョウソヤドリコバチ卵子の膜透過性を調べた。水透過性も耐凍剤透過性もかなり低く、水・耐凍剤チャンネルはあまり発現していないことが示唆された。
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