研究課題
1.マウス卵子にマウスのアクアポリン(AQP)3のcRNAを注入してAQP3を人為的に発現させた結果、水、グリセロールおよびエチレングリコールに対する透過性は桑実胚と同様に高かったが、桑実胚とは異なり、アセトアミドとDMSOに対する透過性は低かった。したがって、桑実胚では、AQP3以外にも耐凍剤を透過するチャンネルが発現していると考えられた。そこで、中性低分子透過性のチャンネルとして尿素輸送体(UT)に着目し、まず、RT-PCRによりUTのmRNAの発現の有無を調べ、いくつかのUTのサブタイプのmRNAの発現を確認した。次に、それらのdouble strand RNA (dsRNA)をマウス1細胞期胚に注入してUTの発現を抑制した状態で桑実胚にまで発育させて膜透過性をしらべた結果、UT-A2のdsRNAを注入した桑実胚でのみ、アセトアミド透過性が有意に低下した。したがって、マウス桑実胚における耐凍剤透過の一部に、少なくともUT-A2が関与していると考えられた。2.メダカの未成熟卵子にラットAQP3のcRNAを注入して水や耐凍剤に対する膜透過性を向上させ、さらに体外成熟させたのちに体外受精した結果、多くの卵子が孵化した。したがって、AQP3の人為的な発現は、卵子の受精能や発生能に大きな影響を与えないことがわかった。そこで、様々な条件でAQP3を発現させたメダカ卵子のガラス化凍結保存を試みたが、融解後に生存卵子は得られなかった。3.ワックス層を除去したキョウソヤドリコバチ胚を10%エチレングリコール液で前処理したのち、エチレングリコールを40%含むガラス化保存液(EFS40)で処理してガラス化凍結保存した。融解後、多くの胚は生存しており、一部の胚(約30%)は幼虫にまで発育した。したがって、凍結保存によるキョウソヤドリコバチの系統保存が可能であると考えられた。
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The Journal of Reproduction and Development (in press)