研究課題
基盤研究(B)
本研究では、形質転換ニワトリ作出技術の開発を目的として、始原生殖細胞の染色体に外来遺伝子を効率的に組み込む方法の開発を行う。本年度は以下の成果を得た。初期胚血液より始原生殖細胞を分離・濃縮する方法として、ナイコデンツを用いた密度勾配遠心分離法の開発・改良を試みた。11%と5.5%のナイコデンツ溶液を重層した密度勾配遠心分離法により、始原生殖細胞を血球細胞から分離・濃縮することが可能であった。次いで、初期胚血液より採取した始原生殖細胞をインビトロでトランスフェクションし、レシピエント胚へ移植した。処理胚を培養し、生殖巣における導入遺伝子(GFP遺伝子)の発現を調べた。また、初期胚血流中を循環している始原生殖細胞をインビボでトランスフェクションし、生殖巣における導入遺伝子(GFP遺伝子)の発現を調べた。その結果、始原生殖細胞のインビトロおよびインビボにおけるトランスフェクションにより、初期胚生殖巣においてGFP遺伝子の強い発現が観察された。しかし、始原生殖細胞に導入されたGFP遺伝子は胚が孵化するまでにほとんど消失してしまった。一方、初期胚血液より採取した始原生殖細胞を放卵直後の胚盤葉(ステージX)に移植し、始原生殖細胞が生殖巣に正常に移住できるかどうかを、GFP遺伝子の導入あるいはWL種とBPR種のSNPの検出(PCR法)により調べた。その結果、胚盤葉に移植された始原生殖細胞は、血流に入り、正常に生殖巣に移住できることが観察された。また、胚盤葉細胞や始原生殖細胞の移植により作出した雄キメラが生殖系列キメラであるかどうか、WL種とBPR種のSNPの検出により調べた。その結果、雄キメラ後代検定の結果とSNP利用の生殖系列キメラの判定結果は良く一致した。初期胚の培養に関し、排卵直後の受精卵の体外培養を試みた結果、低率ではあるが孵化例が得られ、今後の胚操作研究に利用可能となった。
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Journal of Poultry Science 42・2(印刷中)
Methods in Molecular Biology 254・2
ページ: 245-253
British Poultry Science 45・6
ページ: 762-768