研究課題
本研究では、形質転換ニワトリ作出技術の開発を目的として、始原生殖細胞の染色体に外来遺伝子を効率的に組み込む方法の開発を行う。本年度は以下の成果を得た。胚盤葉細胞や始原生殖細胞の移植により作成した雄キメラニワトリについて、精液より採取したDNAを解析して生殖系列キメラの判定を行い、交配実験との比較を行った。その結果、精液中にドナー細胞由来のDNAが検出された個体は、いずれも交配実験の結果、生殖系列キメラであることが確認された。一方で、エレクトロポーレーション法の一種で、外来遺伝子を細胞の核に直接導入できるnucleofection法(Amaxa社)を用いて、始原生殖細胞への外来遺伝子の導入を試みた。始原生殖細胞に適した方法を調べるため、3種類の溶液と8種類のプログラムの組合せについてそれぞれ処理を行い、始原生殖細胞におけるマーカー遺伝子(GFP遺伝子)の発現を調べた。次いで、始原生殖細胞への遺伝子導入に適した溶液とプログラムを用いて、GFP遺伝子の導入を行い、レシピエント胚へ移植し、導入したGFP遺伝子の消長を調べた。その結果、以下のことが明らかになった。Nucleofection法により、始原生殖細胞へのGFP遺伝子の導入は可能であったが、その発現はいずれも一過性であり、発生過程で消失してしまう傾向にあった。Nucleofection法はリポフェクション法に比べ、始原生殖細胞に導入されるGFP遺伝子のコピー数が少ない傾向にあり、レシピエント胚生殖巣における発現は、それほど強いものではなかった。GFP遺伝子の導入効率の高いプログラムは、始原生殖細胞の生存率が低い傾向にあった。しかし、Nucleofection法は短時間に処理できる特徴があり、酵素等をDNAとともに導入できることから、より良い条件を選ぶことにより始原生殖細胞の染色体に外来遺伝子を導入できることが期待された。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (4件)
Journal of Poultry Science 43・1
ページ: 60-66
Journal of Poultry Science 42・4
ページ: 369-374
Journal of Poultry Science 42・1
ページ: 140-144
ページ: 152-157