研究課題
ロドコッカス・エクイ中等度毒力株の病原性プラスミドの多型メカニズムの成立過程を明らかにする為、21種類のプラスミドを用いてPathogenicity island(PAI)近傍6箇所及び、サザンハイブリダイゼーションとPCRにより明らかとなった潜在性プラスミドと相同性のある領域3箇所のシークエンスを行い、全塩基配列が解明されている1型プラスミド(pREA3)と比較検討した。PAI近傍では両端に存在する挿入因子(invA, resA)の塩基配列がpREA3のプラスミド型と一致した群と変異した群に大別された。PAI内の遺伝子及びその右隣のORFには変異が全く認められないのに対し、PAIのより下流(約23,000bp)では遺伝子の挿入や欠損などの多様性が認められた。一方、潜在性プラスミドに相同性のある領域では、pREA3と一致した群と変異したプラスミド型に大別された。驚くべきことに変異の大きなプラスミド型は強毒株の保有する病原性プラスミド90-III型や中国・韓国由来無毒株の潜在性プラスミドと非常に類似した塩基配列を示した。また中等度毒力株は強毒株に比べVap遺伝子群にも変異が多く認められた。これらの遺伝子の変異がアミノ酸配列にどの程度影響しているのかを、Vap遺伝子群、PAI内外ORF各2箇所について調べたところ、Vap遺伝子群では点変異による個々のアミノ酸の置換が少数見られたのに対し、それ以外のORFではフレームシフト変異など大きな置換が認められた。病原性を担うVap遺伝子群では、大きな置換は病原性の消失につながるので自然淘汰されてきたのであろう。今年度の研究では、中等度毒力株と強毒株の病原性プラスミドと潜在性プラスミドとの比較検討から1型(pREA3)に比べ最も似ていなかったプラスミド型の群が、PAIの受け皿となった祖先(プロトタイプ)と考えられる潜在性プラスミドに最も類似していたことが明らかとなった。
すべて 2005
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