研究課題
基盤研究(B)
血液を唯一の栄養源とするマダニの生存基盤は吸血である。本研究では、血液消化と病原体媒介において重要な役割をはたす器官である中腸に着目し、マダニの生存に関与する生体防御分子(Tick Bioactive Molecules:TBM)及びバベシア原虫の媒介者として獲得したTBMの機能解明を実施した。1.マダニの吸血生理を支える分子基盤(1)溶血作用を保持するマダニセリンプロテアーゼ(H1SP):宿主血液の消化に初期段階である赤血球の溶血に関与するH1SPが同定された。(2)中腸上皮細胞で産生される複数蛋白分解酵素の機能解明によって、栄養源の大半を占めるヘモグロビンの分解カスケードの存在が明らかとなった。(3)吸血を支えるグルコサミン・フルクトース6リン酸アミノトランスフェラーゼが吸血によって伸張する外皮クチクラ及び囲食膜形成に欠かせないことを明らかにした。2.ベクターは伝播する病原体を制御する媒介するバベシア原虫の数を制御する殺原虫作用を保持したロンギシン及びロンギパイン、中腸上皮の突破に欠かせない原虫の接着分子であるマダニガレクチンの存在を明らかにした。(1)ロンギシン:抗菌ペプチド群のひとつで、フタトゲチマダニが媒介するバベシア原虫に対して殺虫作用を保持することを明らかにした。(2)ロンギパイン:バベシア原虫膜と特異的に接着し、原虫を死滅させる作用があることが分かった。(3)マダニガレクチン:動物レクチンの1つで、ガラクトース結合能を有する多機能蛋白質のガレクチンがバベシア原虫のレセプター候補分子であることを明らかにした。3.ノックダウンマダニの作出国内最優占種マダニのフタトゲチマダニにおいて、TBMを標的とするRNA干渉法の開発に成功し、個体レベルで逆遺伝学的にTBM機能を実証することが可能となった。
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