研究課題/領域番号 |
16380212
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
三角 一浩 鹿児島大学, 農学部, 教授 (10291551)
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研究分担者 |
藤木 誠 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (60305167)
上村 亮三 鹿児島大学, フロンティアサイエンス研究推進センター, 助教授 (30253884)
瀬戸山 健太郎 鹿児島大学, フロンティアサイエンス研究推進センター, 助手 (00372805)
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キーワード | 関節症 / 細胞外マトリックス / 診断マーカー / 軟骨 / 尿 |
研究概要 |
馬の関節症(OA)マーカーとしての尿中cartilage oligomeric matrix protein(COMP)の可能性 mAb14G4を用いたELISAで測定したOA馬の尿中COMP値は正常と比較して高かった。関節内骨折例では、尿中COMP値の上昇は、関節液中COMP濃度と負の相関を、また関節液中のゼラチナーゼ活性と正の相関を示すことがわかった。骨折直後の急性期には関節液内における酵素活性が低く、基質から遊離した大型COMP分子は関節内に留まり、血液・尿に検出されにくい一方で、OAが始まると(慢性化)、関節内での酵素活性の上昇と共にCOMPの小分子化が進み、血液へのCOMP移行量は増し、尿中で検出されるようになると考えられた。尿中COMP値は、OA関節での蛋白分解酵素活性の高まりを反映する指標として役立つ可能性がある。この成績は、2006年11月にosteoarthritis cartilageに論文公表された。 さらに、関節内骨折後の関節症進行に伴う関節液および尿のCOMP値を測定した。急性期には関節液中COMP濃度が高く、時間経過にしたがって低下する一方で、尿中濃度は慢性経過(すなわち関節症の進行)に伴い増加するということがわかった。 運動負荷による関節疾患発生および進行の予測マーカーとしてのCOMPの可能性 育成馬における血清COMP値は運動直後から有意に上昇、5時間後に最高値に達し、24時間以内に基線値に復した。運動前の基線値はトレーニングの進行度(運動能力の高まり)と一致して上昇したが、運動後の上昇率に差はなかった。運動は、関節軟骨→関節液→血液へのCOMP分子の移動を促し、心肺能力で示される運動能力のアップに一致して安静時の軟骨基質代謝は高回転となることを、2007年2月にAmerican Journal of Veterinary Researchに報告した。 ラットの運動負荷によるOAモデルで、血清および尿中COMPを測定した。現在、データ解析を行い、2つの項目がそれぞれ異なる病期に変化することを見出している。
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