研究課題/領域番号 |
16380218
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
矢木 修身 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (40132865)
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研究分担者 |
栗栖 太 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (30312979)
岩崎 一弘 独立行政法人国立環境研究所, 分子生態影響評価研究チーム, 主任研究員 (30193717)
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キーワード | テトラクロロエチレン / トリクロロエチレン / ジクロロエチレン / 嫌気的分解 / 脱ハロゲン反応 / メタン酸化細菌 / Methylocystis sp.M / 地下水汚染 |
研究概要 |
本研究の目的は、好気的微生物処理が困難といわれるテトラクロロチレン(PCE)を対象に、嫌気的分解菌の有する脱ハロゲン化能と好気的メタン酸化細菌Methylocystics sp.M株の有する酸化分解反応を併用して、微生物的に完全に分解できる系を構築することである。 これまでに、蓮田土壌に有機酸と水素を添加することにより、嫌気的PCE分解が促進される現象が明らかとなったため、PCR-DGGE法及びクローニング手法を用いて分解と微生物群集構造の解析を行った。その結果PCEからトリクロロエチレン(TCE)及びcis-ジクロロエチレン(DCE)までの嫌気的分解には、Clostridium属細菌が大きく関与していることまたcis-DCEから分解には低濃度の水素の存在が重要でこのときの分解にDehalococcoides属細菌が大きく関与していることが示唆された。 ついで嫌気的分解が困難なcis-及びtrans-DCE対するM株の好気的代謝経路及び分解動力学、さらにM株の土壌中における挙動について検討を加えた。M株は100mg/lのcis-及びtrans-DCEを24時間でほぼ完全に分解し、分解生産物としていずれの物質からもジクロロ酢酸及びグリオキシル酸が生成されることが確認された。cis-DCE、trans-DCEおよびTCEに対するVmax(mol/hr.cell)は、7.5、1.2、6.3X10^<-13>、Km(mg/l)は、0.54、1.04、1.84であり、DCEはTCEより高い親和性を有することが判明した。また、土壌中におけるM株の挙動をモデル化することができた。以上の結果から、嫌気反応と好気反応を併用することによりPCEを効率良く分解することが可能であることを明らかにした。
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