研究課題/領域番号 |
16380219
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境農学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
竹村 彰夫 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (50183455)
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研究分担者 |
小野 拡邦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30261960)
堀 成人 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (80313071)
富田 文一郎 筑波大学, 農林工学系, 教授 (40012075)
秦野 恭典 (独)森林総合研究所, 複合研究室, 室長(研究職) (90353812)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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キーワード | キチン / 液晶構造 / 光学異方性 / 2D FT-IR / 水素結合 |
研究概要 |
キチンを塩酸で緩やかに加水分解することにより合成されるミクロクリスタリンキチンは、NH3+の電荷を有し、サスペンジョン系で、キラルネマチック液晶を示す事が知られている。このミクロクリスタリンキチンの表面のカチオンとアクリル酸モノマーがアソシエートするため、ミクロクリスタリンキチン/アクリル酸モノマー/水で構成されたライオトロピック液晶からキャストして得たフィルムにせん断力を加えた後、硬化させたフィルムにおいてグルコース環はせん断方向とは0°、アミド、NHは90°の方向に配向しているのが以前の研究から分かっている。 本研究の目的は、この調整された光学異方性フィルムを用い温度を刺激として2D FT-IRより解析し、液晶構造の制御について検討することである。合成時の粘性挙動を解析するため、粘度・粘弾性測定装置を購入し、検討した。 光学異方性フィルムの2D FT-IRを検討しているうちに、キチンの熱による構造の変化が起きている可能性が見いだされたため、配向したミクロクリスタリンキチンのみの2D FT-IRを検討した。その結果、3500cm-1前後の領域では1D FT-IRではブロードな吸収しか観測されなかった-OHが、実は5つの吸収あることが分かり、温度上昇により水素結合の状態の違いを観察することができ、その結果[O(6)H...O(6)]分子間水素結合の切断が最初に起こり、[O(6')H...O(7)]、[O(3')H...O(5)]の分子内水素結合の切断が起こることが分かった。これは、今までにX線回析で検討されてきた構造と良く一致していた。また、βキチンを同様に-分析したところ、3515、3376cm^<-1>は分子間水素結合したC(6)OH基、3442cm^<-1>は分子内水素結合したC(3)OH基に由来すると分かった。フリーのOH基のバンドは、3617、1567cm^<-1>に現れ、それぞれC(3)OH基およびC(6)OH基に帰属できた。また、アミド領域においては、1648および1618cm^<-1>にアミド1のバンドが、1564および1538cm^<-1>にアミドIIのバンドが存在し、アミド基の二つのエネルギー状態を示唆する結果となった。
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