研究概要 |
ノットグラス栽培水田において、各刈り取り時の窒素量が15kg/10aの化学肥料区と消化液区とを設けて調査した結果、収量,植物体中NO3含有率に有意差はみられなかった。地下水のNO_3濃度は施用2週間後に消化液区は0.7ppmと化成肥料区の11.0ppmよりも有意に低かった。CH_4発生量には両区間に差はみられなかったが,N_2O発生量は消化液区が化成区よりも有意に少なかった。次に、ラビットアイブルーベリー‘ホームベル'を材料として、化学肥料、消化液および消化液をアルギン酸ゲルで固形化したもの(固形化肥料)を4月下旬に施用し、栄養成長、果実重量、総ポリフェノール含量および抗酸化活性に及ぼす影響について調査した.その結果,果実の糖度は,‘レベレイ'と同様に,化学肥料区と比較して,消化液区で同等以上の濃度になり,分散区の方がその傾向が強かった.一方,昨年度の試験では早生種の‘レベレイ'において一括施肥区の糖濃度が高かった.これは,7月に成熟する品種の‘ホームベル'では果実肥大に長期間を要することが影響したと考えられる.さらに,固形化肥料の施用区では成長や糖酸濃度には大きな影響はなかったが,抗酸化活性や総ポリフェノール含量が高まった。また、消化液中のアンモニアをリン酸アンモニウムマグネシウム(MAP)の沈殿として固定化するために,実際の消化液に水酸化マグネシウムとリン酸ナトリウムを添加しMAPの生成条件を検討した。水酸化マグネシウムとリン酸の添加量が増加すると消化液中のアンモニア濃度は低下し,約90%のアンモニアがMAPへ変換された。水酸化苦土肥料でも同様の結果が得られた。また,消化液にアルギン酸を溶解し塩化カルシウム水溶液に滴下しゲル粒子にすることで容易に固形化と乾燥が行えた。アンモニアをあらかじめMAPへ変換後にアルギン酸を溶解し,MAPを包括したゲル粒子とすることが消化液の固形化に有効であることが確認できた。
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