研究概要 |
1.異なる農業環境から分離されたBurkholderia cepacia complexの遺伝子型(genomovar : Gv.)の解析 九州および関東の5県の家畜由来有機物施用土壌から,選択培地で分離し,RFLP解析(16SrDNAおよびrecA)によって,B.cepaciaと同定された98菌株の遺伝子型分布は,Gv.I(31菌株),II(20菌株),III-A/III-B(41菌株),V(6菌株)であり,その分布頻度は地域により異なった。ヒト伝染性マーカー遺伝子(esmR)は,Gv.Iで1菌株,IIIで21菌株に,ピロールニトリン産生遺伝子(prnC)はGv.Iの全菌株と同IIIの9菌株にそれぞれ存在した。 2.B.cepacia complexの生物学的特性 Bccの抗菌活性は、コムギ立枯病菌とカーネーション根腐病菌に対して高く,ダイコン苗立枯病菌には中程度,カーネーション黒斑病菌に対しては低かった。トマト萎凋病菌等に対してはGv.Iの菌株が他のGv.に比べて高かった。prnCの有無と抗菌活性の強弱とは直接関連しなかった。タマネギ腐敗能は,環境由来株で9割以上が,臨床由来株でも半数強で陽性であった。32種類の抗生物質のうち,ベンジルペニシリンやテトラサイクリンなど21薬剤に対して高い耐性を示し,クロラムフェニコールなど8薬剤では感受性が高かった。環境由来株も臨床由来株とほぼ同様の耐性を示した。メロペネムではGv.IとIII-Bのほとんどが感受性,III-Aでは半数近くが耐性で,ナリジキシン酸とオフロキサシンではGv.IIIはほとんどが耐性,Iでは約半数が耐性であった。GenomovarIとIII-A以外の菌株はミノサイクリンにすべて感受性であった。臨床由来株と環境由来株の滅菌土壌中での生存性は同程度であった。 3.昨年度までに得られたセパシア菌群情報(49件)について,農業環境インベントリーセンターにおいてデータベース化し,Web公開した。
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