研究概要 |
1.これまでに植物、根圏、土壌、および臨床試料由来のセパシア菌群(Burkholderia cepacia complex)を多数、収集、保存した。それらはいずれも16s rDNAの塩基配列に基づき該当菌種が同定された。また特異プライマーを用いたPCR等により、遺伝子型(genomovar)の判別が明らかになった。 2.今年度は、これらのセパシア菌群における系統間の血清型別、および免疫学的手法による動態解析への活用を図ることを目的にウサギポリクローナル抗体の作製を行なった。 3.抗原の調製には、分離源および遺伝子型(I, III-A, III-B, IV, V, VII, VIII, IXほか)の異なる15菌株を供試した。常法によりTSA培地で培養した菌体を、生理食塩リン酸緩衝液(PBS、0.1M、pH7.0)で洗浄後、懸濁液(2mg/ml)を調整し、熱処理(100℃、1時間)して菌体抗原とした。 4.抗血清の作製は、各抗原(200ug/ml)を、ウサギ外耳静脈に免疫して行った。免疫は4日間隔で6回行い、約1カ月後に全採血した。それぞれの抗原に対して、約20〜30mlの抗血清が得られた。 5.作製された抗血清について、ELISA法により力価測定を行なった。各抗原(5ug/ml)を100ul/wellで固相化し、室温又は4℃で静置し、Tween20加用PBSで洗浄、0.5%ゼラチンでブロッキング(1時間)後、洗浄し、一次抗体処理後、二次抗体[(HRP標識抗ウサギIgG(H+L)、室温1時間]処理、洗浄後、基質(OPD、0.5mg/ml)を100ul/well添加し、2N硫酸で反応停止後、490nmで吸光度を測定した。 6.8つの遺伝型に対応するセパシア菌株に対して、概ね高力価のウサギ抗体が作製でき、分離源および遺伝子型と血清学的性質との関係、および迅速・簡便な免疫学的診断法の開発への利用が期待された。 7.これまで得られたセパシア菌株情報をデータベースに追加し、Web公開に供した。
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