研究課題
イネSnRK2プロテインキナーゼ群がABRE結合因子TRAB1のリン酸化酵素であることを示すさらなる証拠を得た。すなわち、MycタグをつけたTRAB1とHAタグをつけSAPK10をイネ培養細胞プロトプラストにて共発現させ、その細胞抽出液より、抗myc抗体でTRAB1を免疫沈降させると、抗HA抗体で検出されるSAPK10が共沈殿した。このことは、TRAB1とSAPK10が細胞内で物理的に結合しうることを示しており、前年度に得た成果と合わせ、ABA活性化型SnRK2(SAPK8〜10)がTRAB1キナーゼであることが決定的になった。ABA活性化型SnRK2は高浸透圧ストレスによっても活性化を受ける。この活性化は上流キナーゼによるリン酸化によるものであることをすでに明らかにしていたが、本年度は、ABAによる活性化もリン酸化によることを明らかにした。しかしながら、その活性化メカニズムは、2つの場合で異なっていることが明らかとなった。その根拠は、ABAと高浸透圧ストレスはsynergisticにこれらのプロテインキナーゼを活性化し、そのsynergismはABAあるいは、高浸透圧ストレス単独による影響が飽和する強度でもみられたこと、ABAによる活性化のみが失われた、アミノ酸欠失変異体を構築することができたことなどである。これらの結果は、ABAと高浸透圧ストレスの両シグナルがSAPKにいたるまでは独立に伝達され、SAPK上で合流することを意味する大変興味深い結果である。また、SAPKをベイトにしたtwo-hubridスクリーニングからは、シグナル伝達因子のscafoldとして働きうるタンパク質がどうていされ、SAPKを介するシグナル伝達において、効率的な情報伝達や、情報の融合と種わけに機能している可能性が推定された。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (2件)
Plant J. 44
ページ: 939-949
Plant J. 43
ページ: 142-152