研究課題
基盤研究(B)
細胞接着、細胞増殖、細胞骨格の制御に関わることが示唆されている細胞接着斑裏打ち蛋白質ビネキシンの機能について解析を行っている。今年度はこれまでに報告してきたビネキシンによるERK活性化の足場非依存性誘導について、そのメカニズムの解析を行った。その結果ビネキシンはNIH3T3細胞内で、ERKの活性化因子を調節するのではなく、不活性化因子、つまりフスファターゼによるERKの不活性化を抑制していることを明らかにした。しかもこの不活性化の抑制にはビネキシンとERKとの直接結合が重要であること、ERK特異的フォスファターゼであるMKP3の強制発現によって解除されることが明らかとなった。このことから、NIH3T3細胞においてはERKの活性化因子の細胞接着依存性だけでなく、不活性化因子すなわちフォスファターゼも細胞接着依存的に作用し、ビネキシンはそのステップに影響することでNIH3T3細胞内におけるシグナル伝達の制御に関わることが示唆された。一方、ビネキシン遺伝子の破壊細胞を用いた細胞運動実験では、個体の創傷治癒実験とは異なりビネキシンの消失により細胞運動が亢進することを示唆する結果を得た。このことから、細胞によって異なるメカニズムでビネキシンが細胞運動を制御する可能性も考えられる。次年度以降にさらに解析を行い、この仮説について検証する。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (4件)
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