研究課題/領域番号 |
16380229
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木岡 紀幸 京都大学, 農学研究科, 准教授 (90234179)
|
研究分担者 |
山田 雅保 京都大学, 農学研究科, 准教授 (10243073)
植田 和光 京都大学, 農学研究科, 教授 (10151789)
|
キーワード | がん / 再生医学 / シグナル伝達 / 創傷治癒 / 細胞運動 |
研究概要 |
細胞は、移動先端部で新たな細胞接着を形成して基点を作り、細胞骨格が引っ張り力を発生して細胞全体を引き寄せることで移動している。このような細胞の移動、運動の制御は細胞接着、細胞骨格系と増殖因子シグナル伝達系のクロストークによって行なわれている。本研究ではこれまでに作製しているビネキシンのノックアウト細胞、ノックダウン細胞、強制発現細胞を用いて細胞接着、細胞骨格とシグナル伝達とのクロストーク機構の解明を試みた。 1)創傷治癒過程の解析 ビネキシンノックアウトマウスとビネキシン発現抑制培養表皮細胞を用いたin vivo,in vitroの創傷治癒モデルにおいて異常が見られている。このメカニズムについて検討したところ、創傷治癒に必要な上皮細胞増殖因子受容体の活性化と移動先端部への局在がビネキシンによって制御されていることが分かり、創傷治癒の新しい調節メカニズムを見出した。 2)ノックアウト細胞を用いた解析 これまでにビネキシンノックアウト細胞において、細胞外マトリクスフィブロネクチンの繊維化が亢進していることが明らかとなった。フィブロネクチン繊維は細胞の生存やがんの転移に関わると言われている。また、ビネキシンノックアウト細胞におけるフィブロネクチン繊維化亢進メカニズムについても明らかにした。 3)ビネキシンによる細胞骨格制御機構の解明 ビネキシンαの強制発現は接着斑におけるアクチンを増強させる。アクチン-ミオシンの収縮を阻害する薬剤により接着斑におけるアクチン増強が阻害されたことから、ビネキシンはアクチンーミオシンの収縮の制御にも関わり、アクチン細胞骨格の形態を変化させていいる可能性が示唆された。
|