研究概要 |
従来のアレン化学の研究成果(J.Synth.Org.Chem.,Jpn.2003,61,1088-1098)を基盤として我々は1-シラアレン種及び1-シラアレンカチオン種の合成開発と応用研究を展開してきた。本年度は先ず、独自に開発した実用的合成法に従って合成したジアリルモノアルキニルフルオロシランの中で、Tip、t-Bu、フェニルアルキニル、フッ素から成るシランにt-BuLiを低温下に反応させた後さらに反応液を室温下あるいは加熱還流下に撹絆し、所望の1-シラアレン誘導体を効率良く得ることができた。本1-シラアレンン誘導体は不安定なため、取り出さずにメタノールを加えてその付加体としてその分子構造を間接的に証明した。in situで生成した1-シラアレンン誘導体と各種ケトン及びアルデヒド体とを室温下に反応させたところ、[2+2]の環化反応が進行して各種1,2-オキサシレタン誘導体を好収率で得ることに成功した。イミンとの同様の[2+2]の環化反応では低収率ながら1,2-アザシレタン誘導体を得ることができた。アセトニトリルとの反応では、アセトニトリルのメチレンアニオンがケイ素原子を攻撃して生成したと考えられる生成物が得られた。これらの化合物の分子構造をX線結晶構造解析にて証明した。さらに、独自に合成開発した異種のジアルキニルから成る新規なジアルキニルジアリルシランを用いて各種シラシクロブテン誘導体(有機エレクトロルミネスセンスの機能が期待される。)を合成し、それらの立体選択的な共役ジエン体への変換を達成した。
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