研究概要 |
高度好塩好アルカリ性菌であるNatronomonas pharaonisの負の走光性のレセプターであるpharaonis phoborhodopsin(ppR,又はpharaonis sensory rhodopsin II)は,膜中でhalobacterial transducer II from N.pharaonis(pHtrII)と2:2の複合体を形成しており,ppRが受けた光の情報はpHtrIIに伝えられ,更に細胞内へ伝えられる.この複合体のX線解析によると,Tyr199(ppR)とAsn74(pHtrII)の間に水素結合が形成され,また,Thr189(ppR)とGlu43(pHtrII)およびSer62(pHtrII)の間に2つの結合が形成されると予測されている.このことをppRおよびpHtrIIの変異体を作成して実験的に示そうとした.まず,等温滴定型熱量計(ITC)で複合体の解離定数を決定する方法を確立した.ついで,これらの水素結合に関与するアミノ酸残基を変異させ,ITCを用いて,解離定数を求めた.これらのアミノ酸残基の総てを水素結合を出来ない残基に変異させた結果,野生型では0.1μMである解離定数が100倍近く増加した.高度好塩菌のロドプシン様タンパク(Archaeal rhodopsins)には,phoborhodpsin以外にbacteriorhodopsin(bR),halorhodopsin(hR),sensory rhodopsin(sR)の3種類がある,「これらのbR,hR,sRの3種類について,Tyrl99(ppR)およびThr189(ppR)に対応する位置のアミノ酸残基をTyrおよびThrに変異させると,pHtrIIと結合出来るようになった.
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