研究課題/領域番号 |
16390013
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
安齋 順一 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (40159520)
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研究分担者 |
星 友典 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (50302170)
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キーワード | コンカナバリンA / 糖ポリマー / 累積膜 / PVMA / デキストラン / グリコゲン / グルコース / マンノース |
研究概要 |
グリコゲンに替わる高性能材料を探索する目的で、デキストランおよび合成多糖(PVMA)を用いてコンカナバリンA累積膜を作製し、グルコースに対する応答特性を比較検討した。デキストランは分子中に糖を含有する高分子でありコンカナバリンAと結合することを吸収スペクトル法により濁度の変化から確認したが、固体基板表面に累積膜とすることはできなかった。一方、PVMAはビニルポリマーの側鎖に糖を有する構造をしており、コンカナバリンAとの結合が容易であり、固体基板表面に良好な累積膜を作製することができた。累積膜中のコンカナバリンAの含量は、グリコゲンを用いて作製した累積膜中の含量とほぼ同程度であった。PVMA・コンカナバリンA累積膜はpH6の溶液中ではやや不安定であったが、pH7および8の溶液中では安定に保存することができた。これらの結果は、コンカナバリンAと糖類との結合定数のpH依存性に合致する結果であった。この累積膜の糖類に対する応答性を調べたところ、メチル化グルコースやメチル化マンノースに対しては極めて鋭敏であり、特にメチル化マンノースでは2mM程度で累積膜はほぼ完全に崩壊した。応答時間は3〜4分であった。グルコースに対する応答性は比較的低く、完全に崩壊するには50mM程度の高濃度の溶液に晒す必要があった。以上のことから、PVMA・コンカナバリンA累積膜はグリコゲンを用いた累積膜よりもやや安定性が高い(すなわち、糖応答性は低い)ことが明らかになった。以上の実験結果は、紫外可視吸収法により得たものであるが、同様の実験を水晶振動子ミクロバランス法によっても実施し、累積膜の崩壊に伴う質量変化からも糖応答性を追跡することができることを見出した。
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