研究課題/領域番号 |
16390016
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物理系薬学
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研究機関 | 大阪薬科大学 (2005) 大阪大学 (2004) |
研究代表者 |
小林 祐次 大阪薬科大学, 薬学部, 客員教授 (20127228)
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研究分担者 |
大久保 忠恭 大阪大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (90272997)
吉田 卓也 大阪大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (00294116)
西 義則 大阪薬科大学, 薬学研究科, 客員研究員 (70397727)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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キーワード | コラーゲンモデルペプチド / トリプルヘリックス構造 / 4-ヒドロキシプロリン / 4-フルオロプロリン / エンタルピー / エントロピー / 部分モル体積 / 水和 |
研究概要 |
コラーゲンには他の蛋白質ではほとんど見られない4(R)-ヒドロキシプロリン(Hyp^R)が存在し、トリプルヘリックス構造の熱安定性の上昇に重要な役割を果たしている。この構造の安定化機構を解明するために、最初にコラーゲンモデルペプチドである(Pro-Pro-Gly)_<10>,(Pro-Hyp^R-Gly)_<10>及び(Pro-fPro^R-Gly)_<10>(fPro^R:4(R)-フルオロプロリン)の転移に伴う熱力学量及び部分モル体積と露出表面積を求めた。その結果、(Pro-Hyp^R-Gly)_<10>は水和によるエンタルピー増加がトリプルヘリックス構造の熱安定性の上昇に寄与しているのに対して、(Pro-fPro^R-Gly)_<10>はfProのフッ素原子の低い水素結合能のためにトリプルヘリックスの周囲に存在する水分子の自由度が増加し、エントロピー変化量の減少が小さくなったために高い熱安定性を獲得しているものと結論付けた。次に(Pro-Hyp^R-Gly)_<10>と同程度の熱安定性を有する(Hyp^R-Hyp^R-Gly)_<10>の安定化機構を明らかにするために、(Hyp^R-Hyp^R-Gly)_<10>のX線結晶構造解析と部分モル体積測定の結果と併せることにより、このペプチドの水和の程度を求めた。その結果、三本鎖状態では(Hyp^R-Hyp^R-Gly)_<10>と(Pro-Hyp^R-Gly)_<10>の間に水和の程度の差はなかったが、一本鎖状態では(Hyp^R-Hyp^R-Gly)_<10>の方が(Pro-Hyp^R-Gly)_<10>より水和の程度が高いことが分かった。水和は水分子と水素結合を形成することによりエンタルピーを減少させると同時にペプチドの周囲に存在する水分子の自由度が低くなってエントロピーを減少させることから、(Hyp^R-Hyp^R-Gly)_<10>の高い熱安定性は一本鎖状態における水和の程度の増大によってもたらされたものと考察した。
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