研究課題/領域番号 |
16390017
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山口 佳宏 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (10363524)
|
研究分担者 |
黒崎 博雅 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (70234599)
|
キーワード | 加水分解酵素 / β-ラクタム剤 / 基質認識機構 / 阻害剤開発 / 部位特異的変異法 / X線結晶構造解析 / 速度論的解析 |
研究概要 |
感染症で汎用されているβ-ラクタム剤を加水分解し、活性中心にZn(II)イオンを要求するメタロ-β-ラクタマーゼ(IMP-1)は、ほとんどすべてのβ-ラクタム剤を認識すること、既存のβ-ラクタマーゼ阻害剤が無効であることから、基質認識機構解明と阻害剤開発が急務となっている。IMP-1の活性中心近傍にはヘアピンループがあり、その頂点には基質・阻害剤と相互作用するTrp残基が位置している。Trp残基は構造解析などから可動性を持つことがわかっており、ループ頂点のアミノ酸配列Gly63-Trp64-Gly65が関与していると考えられた。そこで、Gly63Ala、Gly65Ala、Gly63Ala/Gly65Alaの変異体を調製して、4つのβ-ラクタム剤に対する速度論的パラメータおよび阻害剤に対する阻害定数を算出した。これらの結果から、基質・阻害剤とGly65AlaおよびGly63Ala/Gly65Alaの親和性が低下したことから、Trp残基と基質・阻害剤との親和性が低下したと考えた。これらのことにより、Trp64-Gly65の配列がTrp残基と基質・阻害剤認識に重要な役割を担っていることがわかった また合成されたメルカプトプロピオン酸活性エステル誘導体(MPAP)がIMP-1に対して非可逆的に阻害し、IC_<50>が3.8nMと優れた阻害剤であることがわかっている。そこでMPAPとIMP-1の結合様式を調べるために、IMP-1とMPAPから活性エステルが脱離したMPAP-Pとの共結晶を調製し、x線結晶構造解析を行った。SPring8において、2.6Åの分解能で解析した。MPAP-Pは、IMP-1と1:1で活性中心に結合しており、MPAP-Pのチオール基は活性中心の2つのZn(II)イオンに架橋して配位し、IMP-1のLys224と共有結合(アミド結合)していることがわかった。
|