研究課題/領域番号 |
16390017
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山口 佳宏 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (10363524)
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研究分担者 |
黒崎 博雅 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (70234599)
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キーワード | 加水分解酵素 / β-ラクタム剤 / 基質認識機構 / 阻害剤開発 / 部位特異的変異法 / X線結晶構造解析 / 速度論的解析 |
研究概要 |
感染症治療で汎用されているβ-ラクタム剤を加水分解し、活性中心にZn(II)イオンを要求するメタロ-β-ラクタマーゼ(IMP-1)は、ほとんどすべてのβ-ラクタム剤を認識すること、既存のβ-ラクタマーゼ阻害剤が無効であることから、詳細な基質認識機構・加水分解機構解明と阻害剤開発が急務となっている。 IMP-1は活性中心に2つのZn(II)イオンを含んでいるが、酵素当たりのZn(II)イオンの数、その結合定数は活性発現機構解明を解き明かす上で重要にも関わらず、詳細な検討が行われていない。そこでIMP-1からZn(II)イオンを取り除いたapo IMP-1に、分光学的にサイレントなZn(II)イオンの代わりにCo(II)イオンに置換したCo(II)置換IMP-1の分光学的研究とapo IMP-1に1当量のZn(II)イオンを加えて調製したmono-Zn IMP-1のEXAFS測定を行った。 apo IMP-1の調製は300℃で直接キレート剤を酵素溶液に加え、酵素からZn(II)イオンを脱離させ、4℃でキレート剤を脱塩カラムによって除去することで行った。この一連の操作によりZn(II)イオンを加えても活性がほぼ100%回復するapo IMP-1の調製に成功した。このapo IMP-1にCo(II)イオンを嫌気条件化で0.2当量ずつ添加し、UV-Visスペクトルを測定した。その結果、1つ目のCo(II)イオンは2つのZn(II)結合サイトに分布していることがわかった。次にmono-Zn IMP-1のZn(II)イオンの溶液中における挙動を調べるために、SPring-8においてEXAFS測定を行った。まだ解析は不十分であるが、この結果からも1つ目のZn(II)イオンは2つのZn(II)結合サイトに分布していることが示唆された。 得られた知見は、IMP-1阻害剤開発における詳細な分子設計に貢献できることが期待できる。
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