研究概要 |
申講者等は本来のワクチンの基本概念から逸脱し,HIV-1ウイルスを中和するワクチンではなく,HIV-1の侵入を防止し,生体の守りを固める手段を自己抗体に求め、HIV-1 coreceptorに注目した。 本年度の研究実績を以下にまとめる。 1)キメラワクチンのサルに対する安全性試験を含めた基礎実験を行った。またサルを本ワクチンで免疫し、抗血清によるサルエイズウイルス(SIV)の感染防止in vitro実験を行った。その結果、キメラワクチン接種により著しい副作用等は見られなかった。また、得られた免疫開始後8-10week抗血清を用いたMAGIC-5 assayにおいて、SIVmac239の感染を濃度依存的に阻害することが判った。今度、長期的に本抗原を接種することによる安全性試験を継続する予定である。 2)キメラワクチンでワクチン化されたサルに対して実際にSIVもしくはSHIVを注射し、SIVの感染が成立するか否かをin vivoで確認する。現在までに、キメラワクチンを接種したサルについてBIAcore分析を進めており、BIAcoreの値と抗SIV活性の間に相関が見られれば、今後ワクチン接種サルの血清中の抗体価を短時間で解析できるため、攻撃接種前後における抗体価の変動を追跡する実験系の確立につとめている。それが完了次第、SIVmac239 or SHIVSF162P3をもちいて攻撃接種を行いin vivoにおける本ワクチンの評価を行っていきたい。
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