研究課題
基盤研究(B)
1 TGFβ刺激によるROSの産生源:炎症時には、食細胞から様々なサイトカインおよび低分子生理活性物質が分泌され、組織細胞の増殖・分化形質およびEMTが制御される。炎症において細胞増殖制御の中心的役割を担うサイトカインTGFβと活性酸素に注目し、これらの作用による細胞の増殖制御に関わる新たなシグナル系を解析した。低分子のROS産生系阻害剤を用いた検討から、TGF-βによる一部の遺伝子発現がミトコンドリア由来のROSにより制御されていることが示唆された。この点は、ミトコンドリア枯渇細胞を用いて解析から確認された。また、TGF-β刺激によりミトコンドリアからのROSを介してNADPH oxidaseのNox4が誘導されることが見出された。この意義について、Nox4に対するsiRNAを用いてこれをknock downし、検討した結果、MMP10の発現が抑制された。以上の結果より、TGF-βはミトコンドリア由来のROSをシグナル伝達因子として、新たにROS産生系のNox4の発現を誘導し、その結果、細胞の悪性化形質誘導に寄与することが示唆された。2 ミトコンドリア依存的ROSによる遺伝子発現:TGFβによって上皮-間充織転換(EMT)を起こすマウス乳腺上皮細胞NMuMGにおいて、TGFβ刺激によるROSの産生経路に依存しているTGFβシグナル・細胞応答の全体像を把握するため、DNAマイクロアレイ解析を試み、TGFβにより発現が変化する遺伝子のうち、ミトコンドリアにその変化が依存するものを同定した。その結果、TGFβで2倍以上発現が上昇する遺伝子が671種、そのうちミトコンドリア依存的なものが104種類同定できた。また、TGFβで発現が減少するものが807種、そのうちミトコンドリア依存的なものは124種であった。発現上昇する遺伝子として、転写因子CHOP、ATF3、E2F7、Zhx1、p107、また、ストレス応答因子TRB3、Gadd45a、Gsta1 (glutathione S-transferase α1)、COX-2が同定された。
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