研究概要 |
<目的>FEEL-1は血管内皮細胞の同定の指標として広く用いられている蛍光標識したアセチルLDLの取り込み活性を担うマルチリガンドなスカベンジャー受容体である。FEEL-1,-2は動脈硬化の発症や糖尿病の進展に関与すると考えられている酸化LDLやAGE(後期糖化反応生成物)をリガンドとすることを報告してきた。FEEL-1のリガンド結合に必要なドメインの推定を行うこと、内皮細胞の培養上清に検出される可溶性FEEL-1のリガンド結合活性の検討を行うこと、マウス肝臓初代培養細胞を用いてFEELの生理機能を明らかにすることを目的とした。<成果と考察>ヒト臍帯静脈血管内皮細胞cDNAライブラリーよりクローン化した可溶型のFEEL-1の機能についてアデノウィルスベクターを用いた可溶型蛋白質の発現によって検討したところアセチルLDLやAGEを結合することが明らかになった。これらの結果はFEEL-1が細胞表面でリガンドを結合するだけでなく、可溶型の受容体としてリガンドを捕捉する可能性を示唆している。またマウス糖尿病モデルでFEEL-1,-2の発現の変化が起きることを明らかにした。肝臓類洞血管内皮細胞(liver sinusoidal endothelial cell)やKupffer細胞におけるFEELのリガンド結合活性への寄与を検討した。FEELに対するmiRNAを発現するファイバーミュータントアデノウィルスを用いたFEEL-1,-2蛋白質のノックダウンによりアセチルLDLやAGEに対する受容体活性が減少した。これらの結果はin vivoでFEELが酸化LDLやAGEの結合、排除に重要な役割を担っている可能性を示唆している。
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