研究課題/領域番号 |
16390037
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医療系薬学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大槻 純男 東北大学, 大学院薬学研究科, 助教授 (60323036)
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研究分担者 |
寺崎 哲也 東北大学, 大学院薬学研究科, 教授 (60155463)
上家 潤一 東北大学, 大学院薬学研究科, 助手 (10400269)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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キーワード | 血液脳関門 / 血液脳脊髄液関門 / 神経毒 / 排出輸送 / ABCトランスポーター / コレステロール / 病態 / 制御 |
研究概要 |
血液脳関門にどのようなトランスポーターが発現し機能しているかを解明することは、脳への薬物の分布を理解する上で必須である。これまで、血液脳関門のトランスポーターは薬物輸送という観点から解析が進められてきた。本研究では、蓄積性神経毒の中枢排出機構としての従来とは異なる観点から血液脳関門輸送系とトランスポーター分子及びその制御機構を解明し、新たな血液脳関門機能を明らかにすることを目的とした。 コレステロールの脳内代謝物であり、蓄積によって神経毒性を誘起する24(S)-hydroxycholesterolの脳関門排出輸送を解析したところ、放射標識24(S)-hydroxycholesterolは脳関門を介して脳から半減期約100分で消失することが明らかとなった。さらにその排出過程は非標識24(S)-hydroxycholesterolで阻害され輸送系の関与を示した。さらに、有機アニオン輸送系であるoatp familyが関わっていることが示唆された。本結果は、これまで単純拡散で血液脳関門を透過すると考えられていた24(S)-hydroxycholesterolの排出仮説を覆す画期的な成果である。血液脳脊髄液関門においてもABCA1およびABGG1が発現し、その機能は、LXRリガンドである24S-hydroxycholesterolによって制御されていることを明らかにした。さらに、このコレステロールの引き抜きがApoEのサブタイプで異なることを見いだした。ApoEのサブタイプはアルツハイマー病の危険因子として同定されており、また、コレステロールとアルツハイマー病との関連も報告されている。従って、ABCA1およびABCG1を介した脈絡叢上皮細胞からのコレステロールの引き抜きの機構はアルツハイマー病の進行と深く関わっていると考えられる。 本研究成果は、血液脳関門のトランスポーターが脳機能の維持に重要な機能を果たしているという中枢システムとしての新たな一面を明らかにした。さらに、血液脳関門のトランスポーター発現および機能が病態条件下で変動することを明らかにした。生理的役割から血液脳関門のトランスポーターの機能を明らかにした結果、薬物のターゲットおよび疾患時の変動という脳関門研究の新たな展開を開くことができた。
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