我々が単離した有機アニオントランスポーター(oatp遺伝子ファミリー)について、アデノウイルスベクターを用いた発現系の構築を行った。アデノウイルスベクターは、ほぼ全ての哺乳動物細胞を用いての機能解析が可能であり、生体での機能により近いトランスポーターの機能評価が可能となった。特異抗体を用いた薬物トランスポーターの免疫組織学的解析を実施し、薬剤輸送特性と細胞膜局在性を明らかにした。アデノウイルス発現系では一種類のみならず、同時に複数のトランスポーターを発現させて解析することも可能で、よりin vivoに近い解析をin vitroで行うことが可能となった。 OATPファミリーの一般的な基質である胆汁酸の蛍光標識体を用いてヒトOATPファミリー機能評価系の確立を行った。我々は蛍光標識コール酸を作製し、LST-2発現系における機能評価系を確立した。蛍光標識体を用いることで多くの化合物を簡便かつ大量に検討するハイスループット化が可能となり、蛍光標識体の取り込み阻害実験により、各トランスポーターの基質となる化合物のファーストスクリーニングおよび、各トランスポーターの特異的阻害剤のスクリーニングが可能となると考えられた。 OATP-RのC末端を用いてOATP-Rの細胞内局在を決定する蛋白質の同定を行った。まず、C末の欠損を行うと細胞内への移行が阻害された。そこで一部のアミノ酸を置換すると同様に局在を失うことを確認した。その部分のシーケンスを用いてYeast Two Hybridを行った。
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