研究概要 |
前年度までに作成したキメラマウスから,FLP-Frtにより薬剤選択に使用したNeomycin耐性遺伝子,及びCre-loxPによりparchorinのexon 1をそれぞれ掛け合わせにより除き,得られたヘテロマウスを掛け合わせることによりparchorinのホモノックアウトマウスが得られた.従って,parchorinの欠損はembryonic lethalではなく,生存に必須ではないことが判明した.現在ノックアウトマウスの性比は極端に雌に偏っているが,parchorinが雄の発生・成長に必須であるかどうかを判定するにはバッククロスを重ねつつ繁殖させ,加齢による障害発生の可能性を検討する必要がある.しかしながら,17年度から主任研究者の所属が現在のものに変更された.それに従い,ノックアウトマウスを新設なった同志社女子大学薬学部動物施設に移送する必要があった.遺伝子改変動物の移動,飼育には法律に従った手続き等が必須のため,17年度の秋までの準備期間が必要であった.その後,新しい施設においてマウスの繁殖を開始した.従って,ノックアウトマウスのフェノタイプ観測は不可能であった.その間,バッククロスを重ねたマウスが誕生した場合に行うべき実験の準備を行った.まず,塩素イオン移動能が深く関与する系として酸分泌,唾液分泌を摘出器官を用いて測定する系を確立した.また,脳脈絡層,破骨細胞の培養系を確立し,これらを用いて精密なフェノタイプ観測を可能とした.また,マウスparchorinを特異的に認識するポリクローナル抗体を作成し,ノックアウトマウスでは蛋白質の発現も完全に無くなっており,類似機能を持つスプライシングバリアントの存在も無いことを確認した.更に,parchorin機能を補償するために代償的に発現上昇をする遺伝子を見いだすためAffymetrix GeneChipを用いたトランスクリプトーム解析の系を確立した
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