研究課題
基盤研究(B)
我々はCTSマウス(成熟T細胞が胸腺から移出する機構が欠陥)胸腺で、顆粒球や、赤血球が以上に多く存在することを見いだした。この結果は胸腺に移入する細胞はまだ系統分化が決定されていない「造血幹細胞」の段階のものである可能性が考えられる。本研究ではCTSマウスでの所見に基づいて、(1)CTSマウス胸腺における多系統の造血現象を分析し、さらに、(2)CTSマウス胸腺に存在すると考えられる造血幹細胞の分離と同定を試みる。さらに、(3)造血幹細胞が胸腺への移入後に、胸腺内のどのような因子や支質細胞によって、胸腺リンパ球への系統分化が決定されるのかを解明することが目的である。本年度の成果:1.CTSマウス胸腺胸腺における多系統造血現象の解析1.1.免疫組織学による確認:造血系未熟細胞のマーカーを用い、それらに陽性に染まる造血系未熟細胞がCTS胸腺に検出された。赤芽球系は被膜付近の皮質に少量のクラスターとして、顆粒球系、食細胞系はいずれもやや散在性に皮質に観察された。1.2.電子顕微鏡による観察:透過型電子顕微鏡により、顆粒球系(好中球系、好酸球系)、赤芽球系(網状赤血球、成熟赤血球)および巨核球が確認された。特に巨核球を電顕で胸腺に確認したのは報告にない。2.CTSマウス胸腺の微小環境(造血支持能)の解析造血に関与するとされるいくつかのサイトカインの発現パターンをRT-PCR法や免疫組織化学などで検索した。CTSマウス胸腺は通常マウスと同様に造血支持能力を持ち、それは被膜直下の皮質で著しいことが判明した。
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