研究概要 |
本研究では,脈管新生から血管新生に至る分子機構解析のモデルとして,トランスジェニック・ゼブラフィッシュTg(fli1:EGEP)^<y1>を用い,胚の脳血管網形成過程の詳細を時間的空間的に明らかにするとともに,その分子機構について遺伝子発現解析と遺伝子発現操作により解明すること,さらに,二次動静脈形成のモデルとしてラット後腎の血管支配の過程の詳細を形態学的,分子生物学的に明らかにすることを目的とした,結果, 1.脳血管系の起源となる血管芽細胞とその発生母地を発見した.すなわち,脳血管網が3つの血管床(血管芽細胞の集団)から形成され,この過程は血管網形成因子としてflk1に依存するが,血流の有無には左右されない.また,従来信じられてきた脳血管の初期像としての血管網の存在は認められなかった. 2.後腎の血管系は,中腎の血管系を利用して形成されるのではなく,副腎形成時に大動脈から誘導される血管の一部が腎の血管として利用されることを示した.100年来信じられてきたFelixの説を打ち破る成果を上げることができた.この血管の誘導機構を解明することで人工的に腎芽に血管系を誘導できる可能性が示唆された. 3.従来,存在自体が疑われていたゼブラフィッシュのリンパ管の存在とその発生過程を,世界で初めてイメージングにより,明らかにすると共に,リンパ管形成に関わる細胞を同定し,この細胞が胸管系のリンパ管網を形成する際に,prox1,VEGF-Cの遺伝子発現が関与することを,それぞれのmorphorinoを用いたノックダウン実験により明らかにした.
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