研究課題/領域番号 |
16390051
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
千田 隆夫 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (10187875)
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研究分担者 |
野村 隆士 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (20325161)
長谷川 義美 藤田保健衛生大学, 医学部, 助手 (40288494)
下村 敦司 藤田保健衛生大学, 医学部, 助手 (50340237)
向後 晶子 藤田保健衛生大学, 医学部, 助手 (20340242)
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キーワード | Wntシグナル系 / APC / ICAT / DLG / 脳神経系 / シナプス / 中腎管 / 膣 |
研究概要 |
1.APC1638Tマウスの解析 APC (adenomatous polyposis coli)は、大腸のみならず脳神経系における発現が非常に高いが、脳での機能は不明であった。APCノックアウトマウスは胎生致死のために解析ができないので、C末端側を欠損した変異APC (APC1638T)を発現するマウスを解析した。(1)APC1638Tホモマウ(APC^<1638T/1638T>)はメンデル比に従って生まれてきた。(2)ホモマウスは野生型マウス(APC^<WT/WT>)よりも成長(体重増加)が遅かった。(3)ホモマウスでは、脳と消化管のいずれにも腫瘍の発生は見られなかった。(4)野生マウスの脳では、APCはPSD-95と結合していたが、ホモマウスでは、APCとPSD-95は結合していなかった。(5)大脳皮質と海馬のニューロンの樹状突起スパインの形状を比較すると、野生型に比べてホモの方が細長く、面積が小さかった。(6)樹状突起スパイン内の後シナプス肥厚部の厚みを比較すると、野生型に比べてホモの方が薄かった。 2.DLGノックアウトマウスの泌尿生殖器系の解析 DLG (Discs Large)はショウジョウバエの癌抑制因子であり、上皮細胞の増殖、極性形成、細胞接着などに必須の分子である。DLGノックアウトマウスにおける泌尿生殖器の発生過程を追跡した。(1)DLG(+/+)と(+/-)の胎仔では、尿管の下端は胎生12.5-13.5日に膀胱壁に達し、その後尿管下端は中腎管から離れる。これに対してDLG(-/-)マウスでは、胎生15.5日になっても尿管下端が膀胱壁に達さず、いまだに中腎管に接続していた。また胎生16.5日には、一部の(-/-)胎仔で巨大尿管が認められた。(2)胎生15.5日のDLG(+/+)と(+/-)の胎仔では、左右のミュラー管が正中で癒合していた。これに対してDLG(-/-)マウスでは、胎生16.5日になっても左右のミュラー管は癒合していなかった。また中腎管基部の形態異常が認められた。(3)18.5日のDLG(-/-)の雌胎仔では、左右の子宮が接合しておらず、膣が形成されていなかった。
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