研究課題
基盤研究(B)
本研究はATP受容体チャネルP2X_2等を対象として、膜機能蛋白の状況依存的な構造と機能の変化、およびそのメカニズムを知ることをゴールとしている。該当期間中に、以下の4点について成果を挙げた。「1」ATP投与により開状態に入った、ごく近傍にあるP2X_2受容体チャネル間の相互作用により構造変化が起こり、ポアの性質やリガンド感受性が変わることを見いだし、さらにその発現密度依存性の構造基盤が、IIe328残基であることを明らかにした。「2」P2X_2レコンビナント蛋白をグルタルアルデヒドで架橋後、non-denatureゲルにて電気泳動したところ、主バンドのサイズからP2X_2蛋白が3量体であることが示された。さらに、ATP投与後、同様な実験を行うと3量体のバンドが上方にシフトした。このシフトは、GTPやアデノシンの投与や、架橋後のATP投与によっては見られなかったため、リガンド結合により、易動度が変わるような構造変化が起こることが示唆された。最終精製のピーク分画を用い、酢酸ウランにより負染色して電顕撮影したところ、単一蛋白粒子像が観察された。単粒子構造解析の手法により、P2X_2蛋白が3量体であることが確認され、また、大きな細胞外領域を持つ逆ピラミッド状の構造をしていることが明らかになった。「3」リン脂質によるチャネル活性の動的調節について解析した。その結果、他のチャネルで広く知られているPIP_2ではなくPIP_3による調節を受けていること、さらに、活性調節とチャネルポアの拡大が密接にリンクしていて、拡大したボアがPIP_3が減少した状況下で活性を次第に失うことが明らかになった。「4」代謝型グルタミン酸受容体を対象とし、FRET法により、その動的構造変化を光学的に捕らえることに成功し、また、リガンドの種類に依存する出力の切り替えがおこることを見いだした。
すべて 2006 2005 2004
すべて 雑誌論文 (19件)
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 103
ページ: 1124-1128
Journal of General Physiology 127
ページ: 401-419
細胞工学 25
ページ: 247-250
Proc.Natl.Acad.Sci.USA 103
Cell Technology 25
Biochemical and Biophysical Research Communications 337
ページ: 998-1005
Journal of Physiology 569
ページ: 59-74
Current Opinion in Neurobiology 15
ページ: 289-295
Pharmacological Reviews 57
ページ: 509-526
別冊 医学のあゆみ 「イオンチャネル最前線 update」(倉智嘉久編) Suppl.215
ページ: 88-93
Clinical Neuroscience 24
ページ: 149-152
Igaku-no-Ayumi Suppl. 215
Journal of Physiology 558
ページ: 31-43
Nature Structural & Molecular Biology 11
ページ: 637-642