研究課題/領域番号 |
16390053
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
矢田 俊彦 自治医科大学, 医学部, 教授 (60166527)
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研究分担者 |
尾仲 達史 自治医科大学, 医学部, 助教授 (90177254)
中田 正範 自治医科大学, 医学部, 講師 (10305120)
出崎 克也 自治医科大学, 医学部, 助手 (90337329)
曽根 英行 自治医科大学, 医学部, 研究員 (90398511)
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キーワード | グレリン / インスリン分泌 / カルシウム / Kチャネル / 膵灌流 / 摂食中枢 / NPYニューロン / レプチン |
研究概要 |
(1)膵内因性インスリン分泌制御因子としてのグレリンの検証 グレリンは、成長ホルモン放出促進因子受容体(GHS-R)のリガンドであり、胃で産生される。前年度の研究で、グレリンはラット膵島に発現しており、GHS-R拮抗薬・抗グレリン血清添加により分離膵島のグルコース刺激インスリン分泌・細胞内Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]_i)増加が促進されることから、グレリンが膵島内因性のインスリン分泌抑制因子であることを示唆した。これが生理的作用であることを検証するため、正常な血流を保持した膵灌流を用いて実験を行った。灌流膵からのグルコース誘発インスリン分泌はGHS-R拮抗薬・抗グレリン血清添加により増加し、反対にグレリン添加により抑制された。以上の結果より、グレリンは生理的な膵島内因性インスリン分泌制御因子であることが結論された。 (2)グレリンによるインスリン分泌抑制のβ細胞シグナル伝達機構 グレリンはβ細胞のグルコース誘発[Ca^<2+>]_i増加を抑制し、またβ細胞の遅延性K^+チャネル電流を活性化した。グレリンのインスリン膵島・[Ca^<2+>]_i・K^+チャネルに対する作用は全て、G蛋白のGi/Goサブタイプの阻害剤であるPTXの前処置により完全に阻害された。以上の結果より、グレリンの作用はGi/Go活性化→K^+チャネル活性化→[Ca^<2+>]_i低下→インスリン分泌抑制によることが示唆された。 (3)摂食中枢におけるグレリンとレプチンの相互作用とシグナル干渉 摂食亢進に不可欠の役割を果たす視床下部弓状核ニューロペプチドY(NPY)ニューロンにおいて、摂食亢進物質グレリンと摂食抑制物質レプチンの相互作用、シグナル統合を解析した。グレリンはcAMP-PKA系依存性にNPYニューロンの[Ca^<2+>]_Iを増加し、レプチンはPI3 kinaseを介してこれに拮抗することが明らかになった。
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