研究課題
下垂体後葉ホルモンであるバゾプレッシンは抗利尿ホルモンとして、オキシトシンは分娩・射乳に大切なホルモンとしてよく知られている。最近、これらのホルモンが高次機能(例えば、社会行動や子育て)にも重要な役割を有することが明らかとなり注目されている。我々は、すでにバゾプレッシン-GFP融合遺伝子を用いてバゾプレッシン産生ニュ-ロンをGFPの緑色蛍光により可視化することに成功していたが、(1)オキシトシン-CFP融合遺伝子を用いてオキシトシン産生ニューロンをCFPの青色蛍光により可視化することにも成功した。今後、ダブルトランスジェニックラットを作製する予定である。(2)バゾプレッシン-GFPトランスジェニックラットを用いて、2%高張食塩水の飲水負荷、両側副腎摘出および炎症ストレス(リポポリサッカライドの腹腔内投与)負荷を行って、GFPmRNAおよびGFP蛍光の変化を調べた。その結果、バゾプレッシン-GFP遺伝子はストレス負荷に対して内因性バゾプレッシン遺伝子よりも過大に反応すること、室傍核のCRH産生ニューロンにもGFP遺伝子が発現することを明らかにした。(3)バゾプレッシン-GFPトランスジェニックラットの脳内でのGFP蛍光の分布を詳細に検討するためにコルヒチンの脳室内投与を行った。その結果、視床下部-下垂体系のみならず、例えば脳内ノルアドレナリン系の起始核である青斑核にGFP蛍光が著明に発現することを見出した。(4)バゾプレッシン-GFPトランスジェニックラットの視交叉上核ニューロンにもGFP蛍光が発現していることから、サーカデイアンリズムとの関連を検討した。その結果、視交叉上核において時計遺伝子(Per1,2)およびバゾプレッシン遺伝子の発現と同様にGFP遺伝子の発現もサーカディアンリズムを有していることが明らかとなった。(5)バゾプレッシン-GFPトランスジェニックラットの視索上核から単離したニューロンをGFP蛍光で同定した後に、種々の新規ペプチドを投与してパッチクランプ法を用いてその作用を電気生理学的に検討しているところである。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (8件)
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