研究課題/領域番号 |
16390070
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
薬理学一般
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研究機関 | 国立循環器病センター(研究所) |
研究代表者 |
沢村 達也 国立循環器病センター(研究所), 脈管生理部, 部長 (30243033)
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研究分担者 |
山口 三郎 国立循環器病センター(研究所), 脈管生理部, 室長 (00182436)
中野 厚史 国立循環器病センター(研究所), 脈管生理部, 室長 (90217787)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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キーワード | 酸化LDL受容体 / LOX-1 / 酸化LDL / 血管内皮細胞 / 動脈硬化 / 内膜増殖 |
研究概要 |
本研究では、病態モデル動物の解析により、酸化ストレス関連疾患における酸化LDL受容体LOX-1の意義を明らかにすることを目的とした。 (1)血管内皮細胞機能におけるLOX-1の意義を明らかにするためにLOX-1ノックアウトマウス(KO)と対照マウスの血管を摘出し、酸化LDLに対する反応を比較した。酸化LDLの血管壁への取り込みは、LOX-1KOでは対照マウスに比べて顕著に低下し、NOにより媒介される血管内皮細胞依存性の血管弛緩反応は対照マウスでは酸化LDLにより抑制されたが、LOX-1KOでは弛緩が保たれた。このことから酸化LDLによる血管弛緩障害がLOX-1を介していることが明らかになった。 (2)ラットの頚動脈内膜をバルーンカテーテルにより擦過し、その後の内膜肥厚の過程におけるLOX-1の意義を検討した。内膜損傷後LOX-1の発現は顕著に亢進したが、この系に抗LOX-1抗体を投与すると、中膜の平滑筋層の厚みには変化が見られなかったが、内膜の増殖は有意に抑制された。また、この際に、白血球の浸潤や、酸化ストレスも抗LOX-1抗体により抑制されていることが明らかとなり、バルーン障害後の酸化ストレス亢進と、内膜増殖にLOX・1がかかわっていることが示唆された。 (3)冠動脈・心筋細胞にLOX-1を過剰発現するトランスジェニックマウスを用いて、LOX-1トランスジェニック/ApoEKOマウスで生じる冠動脈への脂肪沈着の解析を行った。対照のApoEKOマウスと比較して、酸化LDLの沈着、酸化ストレス、マクロファージの浸潤、脂肪沈着が顕著に亢進しており、LOX-1の過剰発現により、血管壁への脂肪沈着が促進されることが明らかとなった。 以上のことから、特に血管機能においてLOX-1が酸化ストレスと密接に関連し、血管機能障害を促進する方向に働いていることが明らかとなった。
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